月7話 新しい世界

リカさんに手を引かれるままたどり着いたのは、豪華なナイトクラブだった。

少し暗い室内では、煌びやかな衣装をまとった人達がおしゃべりに興じている。

――――――

リカ『言っただろ。今夜はお前を帰すつもりないって』

――――――

(びっくりしたな……)

クラブの中にあるラウンジで、豪華な装飾を見渡しながら、私は落ち着かない気持ちで息を吐いた。

(しかも、着替えまですることになるなんて……)

――――――

リカ『ああ。とりあえず、お前はドレスに着替えて……できれば、セクシーなやつ』

〇〇『え!?』

リカ『何、それくらい当たり前だろ。 ワールドサロンで開かれる、クラブイベントに招待されてるんだよ』

―――――

(心の準備が……まだできてない)

リカ「何、緊張してるんだよ」

騒ぐ胸を抑えながらソファに座ると、リカさんも私の隣に腰かけた。

〇〇「いきなりだったので…-」

リカ「大丈夫。普通のクラブよりはセキュリティも厳しいし」

〇〇「ワールドサロンってこういうパーティもあるんですね」

リカ「そうだな。今回はいろんな企画が出たらしくてさ。 DJしてる友達がこのパーティのオーガナイザーなんだよ。来ないかって、誘ってもらったんだ」

(リカさん、こういうところまで顔が広いんだ)

感心していると、リカさんが賑やかなフロアの方へ視線を向けた。

リカ「ほら、お前とクラブって来たことなかったなって思ってさ」

〇〇「リカさんは、クラブが好きなんですか?」

リカ「好きとか嫌いとか、あんま考えたことないけど……。 ただ、お前と遊びたくて」

(……!)

不意打ちで向けられた色っぽい笑みに、落ち着き始めていた鼓動がまたうるさくなる。

(こういうところに来るのは、ちょっと不安だったけど……)

(リカさんとなら、楽しい夜が過ごせそう)

そう感じると、ようやく緊張が解けて笑みがこぼれた。

リカ「ってことで、準備できた?」

〇〇「……はい!」

リカ「よし。じゃ、行こ」

彼の腕に手を絡ませ、ホールへと向かう。

リカさんが見せてくれる新しい世界への期待が、私の足取りを軽やかにするのだった…-。

……

煌びやか照明が、全身で音楽を楽しむ人達の姿を照らし出す…-。

その姿に圧倒されて、私は思わず息を呑んだ。

(すごい……)

リカ「おい」

〇〇「あっ……」

リカさんの手は、私の手をしっかりと握りしめた。

リカ「ぼうっとしてると、はぐれるぞ」

〇〇「は、はい……!」

人の波に飲み込まれないよう、私もリカさんの手をぎゅっと握り返す。

リカ「いい覚悟。ほら、もっとこっち」

リカさんが力強く私を引き寄せてくれた、その時…-。

??「お、きたきた」

不意に上から降ってきた楽しげな声に、リカさんもニッと目を細めるのだった…-。

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