月SS 世界一愛しいキミへ

たくさんの人で賑わっている島は、その場にいるだけで明るい気分になれる。

ミヤ「お祭りみたいで、わくわくするでしょ? 一緒に回れば、楽しさ二倍! ううん、それ以上だって思わない?」

〇〇「そうだね。ミヤと一緒なら、何をしてもきっとすごく楽しい」

彼女は、ぱっと花が咲いたように微笑んだ。

(うん、元気になってくれたみたい)

(やっぱり〇〇ちゃんの笑顔って……いいな)

彼女の笑顔に、オレは今まで何度も救われてきた。

いつもは包み込むようなその優しさに甘えてしまっているけれど、今日は、オレの気持ちをちゃんと伝えたい。

ミヤ「……ねえ、〇〇ちゃん。 いつも、本当にありがとう」

すると、彼女が驚いたように目を見開いた。

〇〇「突然、どうしたの?」

ミヤ「こうやって一緒にいられることが、すごく嬉しくて。 感謝と、これからもよろしくっていう気持ちを込めて、楽しい時間をプレゼントさせてほしいんだ」

思い切って想いを伝えると、彼女が柔らかい笑みを浮かべた。

〇〇「……お礼を言うのは、私の方だよ。 私はミヤといるだけで、いつも楽しい気持ちをもらってるんだから。 私こそ……ミヤと出会えていなかったらなんて、考えられない」

ミヤ「……!」

(もう……困ったな)

(そんなこと言われたら、もっとキミを好きになっちゃうよ)

〇〇「……? どうしたの?」

ミヤ「あ……ごめん。なんていうか……。 キミの言葉が、すごく嬉しくてさ」

愛おしさが溢れて抱きしめてしまいそうになるけど……

その気持ちをぐっとこらえて、〇〇ちゃんに向き直る。

(ちゃんと……気持ちを全部、言葉にして伝えたい)

ミヤ「……今日、〇〇ちゃんを誘えてよかった。 このワールドサロンはキミのためのワールドサロン。キミと過ごしたい人はきっとたくさんいるから」

彼女への想いをひとつひとつ、丁寧に言葉に紡いでいく。

その度に胸が熱くなって、なんだかちょっと苦しかった。

ミヤ「〇〇ちゃんのことが好き。〇〇ちゃんにすっごく感謝してる。 きっと、誰よりも」

〇〇「ミヤ……」

(言えた……)

安堵と共に、オレは指先に魔術の光をまとわせた。

ミヤ「それを、ちゃんとした形で伝えたくて。 ……だからね」

(精一杯のありがとうを、キミに贈るよ)

今日のために密かに練習していた魔術の詠唱を始める。

ミヤ「考えたんだ。今日っていう特別にふさわしい……とっておきの伝え方!」

指先から光を放ち、彼女の目の前に大きなケーキを作り出す…-。

〇〇「わぁ……!」

(特別の日にはケーキを食べるから……って思ったけど)

ミヤ「特別な日には、やっぱりケーキ……って、ちょっと単純すぎるかな?」

少しだけ不安になりながらそう聞くと、彼女はきらきらした瞳でオレの方を見た。

〇〇「そんなことないよ。ミヤ、本当にすごい……!」

(喜んでくれたみたいだ……よかった)

調子に乗ってしまえば、彼女の嬉しそうな表情をもっと見たいという気持ちが抑えられなくなる。

ミヤ「驚くのは、まだまだ早いよ!」

オレは次々に、甘いお菓子を魔術で作っていった…-。

ほうっと息を吐いた彼女に、オレはスプーンを手渡す。

ミヤ「〇〇ちゃん、どうぞ召し上がれ」

〇〇「いただきます」

ためらいがちにスプーンを受け取ると、〇〇ちゃんはけーひとすくいした。

〇〇「……おいしい!」

(うん、やっぱりいい笑顔!)

改めて、彼女の笑顔が好きだと思う。

(〇〇ちゃんのこと、ずっと傍で見ていたいな)

ミヤ「これがオレなりの感謝の気持ち。喜んでもらえたかな?」

彼女は小さく頷くと、柔らかく微笑んだ。

〇〇「うん。今日一日、ミヤと一緒に過ごせて……すごく楽しくて、嬉しかったよ。 ミヤが部屋から連れ出してくれなかったら……きっと一人で緊張したまま過ごしてた。 こんなに楽しい気持ちで一日を過ごせたのは、ミヤのおかげ」

(……っ)

(そんなこと言われると……もう我慢できないよ!)

ミヤ「あ~もう! キミって本当……!!」

溢れ出す想いを止めることができず、オレは彼女の体を強く抱き寄せた。

〇〇「! ミ、ミヤ……?」

ミヤ「オレが喜ばせるって言ってるのにさ。どうしてそう、かわいいことばっかり言うのかな。 ずるいよ、もう……」

彼女も、オレの体をそっと抱きしめ返してくれる。

触れ合う部分から、じんわりと温もりが伝わってくる…-。

ミヤ「あのね、キミがいたから今のオレがここにいるんだよ? オレの方こそ……大切な気持ちをたっくさんくれて、ありがとう」

お菓子の甘い香りと、彼女の体温に包まれながら……

ミヤ「オレの気持ちは、何があっても絶対に変わらないから」

もう一度彼女を強く抱きしめ、永遠の愛を囁いたのだった…-。

おわり。

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