月7話 珠玉の言葉

楽隊がラッパを吹き鳴らし、軽やかな音色と共にパレードを引っ張る。

男の子「ママ! みて、キレイだよー」

子ども達は無邪気な笑顔を浮かべ、舞い散る紙吹雪に手を伸ばす。

(皆、楽しそうな笑顔……)

華やかなパレードは続き、私達の馬車が広場へさしかかった時……

サイ「馬車を止めてくれますか」

不意に、サイさんが御者の方に声をかけた。

(どうしたんだろう……?)

予定にないことだったので、驚いてサイさんの顔を見つめた。

広場の中央で馬が歩みを止めると、観衆がいっせいにこちらへ注目する。

サイ「◯◯……」

サイさんは私の手を取り、馬車の上で立ち上がった。

そして、深く息を吸い込むと……

サイ「この場にお集まりいただき、ありがとうございます」

よく通る涼やかな声で、観衆に語りかけ始めた。

サイ「名誉あるプリンスアワードにお招きに預かり、そしてパレードに参加できることは身に余る光栄です」

ひとりひとりの民に語りかけるよう、サイさんはゆっくりと言葉を紡いでいく。

サイ「この世界が、誰にとっても生きやすく……。 すばらしい夢を抱き、実現できる場所であるように」

言の葉に祈りを込めるように、サイさんは胸に手を当てた。

サイ「サフィニアの王子として、力の限りを尽くすことを……。 この場にお集まりの皆さんと、トロイメアの姫の前で誓います」

(サイさん……!)

沿道の民「いいぞー! サイ王子ー!」

沿道の民「サイ様、なんて凛々しいお姿……!」

サイさんの宣言を受け、広場は大歓声に包まれた。

王子としての誇りを胸に、堂々と振る舞うサイさんの隣で、想いが溢れそうになる。

(サイさん、よかった……)

サイ「……」

自信を取り戻したサイさんと、温かな視線を交わした。

サイさんは私を支えるように、そっと座席へ腰を下ろす。

サイ「さあ、パレードの続きをしよう」

◯◯「はい……」

私はサイさんと手を繋いだまま、笑顔で頷き返す。

サイ「やっぱり、人前に出るのは得意じゃないけど」

サイさんは困ったように微笑みながら、私を見つめる。

サイ「こうして、君が隣にいてくれるなら……。 自分らしく、プリンスアワードも楽しめそうだよ」

蒼玉の瞳が陽の光を映し、その輝きを増していく…ー。

その後、華やかなパレードは再開され、私達は、沿道の観衆に笑顔で手を振り続けた…ー。

<<月6話||月最終話>>



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする