フラフを追ってアヴィの城を出た後……
〇〇「フラフ! ま、待って!」
フラフはとてとてと、一切休むことなく歩き続けている。
門兵の目を盗んで城から抜け出して、気がつくと街まで来てしまっていた。
昼間は賑やかなのに、夜はしんと静まり返っている。
(ちょっと怖い、かも……)
でも、このままフラフが帰ってこなかったら、きっとアヴィは悲しむ。
私は勇気を出して、後を追った。
その頃……
アヴィ「どこいったんだ、あいつ!」
城中どこを探しても〇〇の姿がなく、アヴィは焦っていた。
侍女に聞けば、手当てはきちんと受け今夜はすでに休んだはずだと言う。
アヴィ「まさか……」
胸騒ぎがする。
アヴィは中庭に目をやった。
ちいさな青紫色の花弁が、何かを訴えるようにさわさわと揺れている。
彼女も、この花を美しいと言ってくれた。
アヴィ「こんな夜に……もし何かあったら……」
柔らかな笑顔を思い出して、ぐっと奥歯を噛みしめた。
アヴィの心は、いつしか〇〇のことでいっぱいになっていた…―。