アインツ「やああああっ!」
金属がぶつかる、激しい音が聞こえて……
歓声が、わき上がった。
アインツ「…………」
震える手を抑えて、アインツさんは相手に弾き落とされた剣を見下ろした。
アインツ「負けたのか……オレは……」
(アインツさん……)
力なく立ちつくす彼の後ろ姿に、私の胸が締めつけられた。
(アインツさん、大丈夫……まだ、試合は残ってます……)
(頑張って……!!)
私は胸の内で、彼の勝利を祈った。
…
……
成績が振るわないまま、最後の競技に差し掛かった。
アインツの友達「アインツ、大丈夫か?」
アインツ「あ、ああ……」
アインツの友達「お前らしくないな。いつもの勢いはどうした?」
アインツ「……」
アインツの友達「最後くらい、彼女に見せてやれよ。お前のかっこいいところ」
観客席にいる○○を見つめて、アインツは眉を寄せた。
アインツ「わかってる……ちゃんと見せて、伝えたい事があるんだ……アイツに……」
そしてまた、競技開始のアナウンスが流れる。
アインツは、剣の柄を強く握りしめた。