オーロラの国・セイトス…-。
私は黄昏色に染まる街を見つめていた。
〇〇「まだ、オーロラは出ないのかな……」
この国で起きた、いろいろなことを思い出す。
崩壊しかけた街を復興させようと、街の人々は毎日頑張っている。
(早く、もとの元気な街に戻れたらいいな)
メディ「ハニー、ここで何をしているのかな?」
私の横から顔を覗かせると、メディさんはいつものように優しく微笑んだ。
〇〇「メディさん」
メディ「のんびりしていると、すぐに眠る時間が来てしまうよ」
〇〇「眠る時間……」
顔を上げると、地平線の向こうに夕陽が沈みかけていた。
メディ「睡眠不足だと、怒られてしまうからね!」
〇〇「もしかして、白葉さんにですか?」
メディ「そういうことだね」
メディさんはわざとらしく肩をすくめて、目配せする。
メディ「ハニーが眠るまで、ボクが美しい子守唄を歌ってあげたいところだけど……。 残念ながら、今日は難しそうだ。 ハニーがいい夢を見られるよう、この黄昏の空に願っておくよ」
思わず笑いそうになり、私は口を手で覆う。
〇〇「わかりました。お部屋に戻りますね」
メディ「そうだね。いい夢を、マイスウィートハニー」
肩に手を置くと、メディさんは私にウインクしてみせる。
〇〇「はい。メディさんも」
メディ「もちろん!」
メディさんに挨拶をして、私は宿へと歩き出した。
(メディさんはいつも明るいな。私まで元気をもらえた気分……)
心に、温かい灯がともったような気がした。
その時になって、メディさんの言葉が頭に引っかかる。
(今日は難しいって言っていたけど……)
(そう言えばメディさんはどうして外に?)
ふと気になり、振り返ると…―。
メディさんは宿に戻らず、そのままどこかへ歩いていく。
〇〇「メディさん、どこへ……?」
空一面に広がる夕焼けが、小さくなっていく彼の背中を淡く照らしていた…-。