第2話 乱暴な優しさ

目覚めさせたお礼に、領地でもてなすと言ってくれたリーヤさんの背を追って、歩いていく。

のどかな田園を抜けるとすぐに、蒸気機関が発達した賑わう街中に出た。

(すごい……さっきとは一変して、近代的な感じ)

それは一歩、街に足を踏み入れた瞬間のこと…-。

街の人1「リーヤ様だ!」

街の人2「リーヤ様が、お戻りになられたぞっ!」

私達はたちまち、街の人々に取り囲まれてしまった。

リーヤ「うわっ、なんだよ!」

街の人3「リーヤ様大変なのです! ご不在の間に、カラスが畑を……」

街の人4「リーヤ様、カラスが畑を……」

リーヤ「ああ? んなモン、案山子を立てときゃいーだろ。 首が5秒に1回、振れるやつだ。あいつら、全く動かねーと、脳みそがないってすぐ気づきやがる」

街の人5「ああ……天才だ。天才だ!」

街の人6「天才だあっ!」

街の人7「リーヤ様、ところで、案山子の首を振れさせるにはどうしたらいいですか」

リーヤ「それはだなあ…―」

それからしばらく、リーヤさんは街の人達の質問攻めに合い、面倒臭そうにしながらもすべて答えていた。

街の人7「おー、素晴らしい!」

街の人8「天才だあっ!!わあっ!」

街の人にもみくちゃにされながら、リーヤさんは困ったように帽子を目深に被った。

リーヤ「……ったく、ちったあ自分達の頭で考えやがれってんだ」

(天才だって皆から頼られて、すごいけど……リーヤさん、大変そう)

重いため息を吐くリーヤさんに、私は……

〇〇「リーヤさん、大丈夫ですか?」

翳った表情が心配になり、話しかける。

するとリーヤさんはぐいぐいっと乱暴に帽子を正し、険しい表情になった。

リーヤ「……別に、心配されるようなことは、何もねーよ」

ぶっきらぼうな物言いだけど、彼の表情はどこか寂しげだった。

(何か……あるのかな?)

気になりつつも、それ以上聞くなと言われているような気がして問えなかった。

リーヤ「あー、ほら、皆散った散った! ひとまず城に戻るから、案山子が駄目なら相談しに来い」

街の人「あ、リーヤ様……!」

リーヤ「いいか?5秒に1回の首が動く案山子が、駄目なら!だからな!」

リーヤさんは念を押すように強く言い切ると、ぐっと私の手を掴んだ。

(え……?)

リーヤ「街の奴らが集まってきてるからな。はぐれねーよにだよ!」

〇〇「は、はい……」

(リーヤさんって……)

言葉は乱暴だけど、彼の手からは優しさが感じられて……

騒がしい街を二人で抜けながら、私はリーヤさんの素顔がとても気になり始めていた…-。

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