第2話 探し物は何ですか?

クロノ「一族に伝わる、大切な時計が……ない!! こ、これは一大事です!」

(何が……あったんだろう?)

尋常ではない様子に、気になってクロノさんの後を追おうとするけれど…ー。

彼の足は驚くほどに早くて、途中で見失ってしまう。

(この辺りの方へ駆けて行ったはず……)

彼の残した足跡を追っていくと、やがて、大きな時計と鐘楼が印象的な教会のような城の姿が見えてきた。

……

城の外で呼びかけても返事がなかったため、私は自分で扉を開けて中に入ることにした。

彼の姿を探し、見知らぬ城の中をきょろきょろとしていると……

(あ……)

中庭の方に、長身の人影が見えた…ー。

(これは……)

中庭に出ると、地面のいたるところに穴がいくつも掘られていた。

その穴の中でも、ひときわ大きい穴の中から、今も土が掻き出されている。

クロノ「大変だ大変だ! ここにもない、あっちにもない、どこにもない、欠片もないっ! いったいどこに消えてしまったのでしょう……私はこの先、ご先祖様にどう顔向けすれば…… !」

○○「あの、クロノさん?」

クロノ「!? 貴方は先ほどのお嬢さん……」

私の姿に気づいたクロノさんは、穴から飛び出すと、私の前で膝のほこりを払った。

クロノ「これは……一度までか二度までもすみません。とにかく今は一刻を争うー大事なんです!」

○○「探し物、なんですよね?」

クロノさんの言葉を思い出し、そう尋ねると…ー。

クロノ「はい……あの懐中時計は時を操る能力を持った、一族に伝わる大切な時計なのです」

○○「時を……操る!?」

おうむ返しに尋ねると、彼の表情に一層の焦りが浮かぶ。

クロノ「ああっ! それは機密事項でした……! どうか忘れてください。 ああ……なのに私ったら、そんなに大切な物をよりによって失くしてしまうなんて…… !」

クロノさんは、土で汚れてしまった手で頭を抱えながら涙目になる。

クロノ「私はこの先どうすればいいんでしょう! このままじゃどんな恐ろしい目に合うか…… !」

○○「そんな…ー」

クロノ「あ、いえいえ、今のはちょっと言い過ぎました。でも本当に大切な物なんです」

困り切った顔のクロノさんを見て、私は……

○○「私も一緒に探しましょうか?」

クロノ「そんな……いいのですか? なんて優しいお嬢さん…… !」

クロノさんは大きな目を潤ませて、私の手を両手で握りしめた。

○○「……っ!」

折れてしまうかと思うくらい、力強く彼は私の手を握る。

クロノ「…… ? どうしましたか?」

片耳を折り曲げて、クロノさんは不思議そうに問いかけた。

○○「な、なんでもないです。早く探しましょう」

(よっぽど、嬉しいのかな……)

クロノ「さっそくですが、よろしくおねがいします!」

クロノさんの言葉に頷いて、まずは城の中から時計探しを開始した…ー。

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