桃花の国・ペルシェ 白の月…-。
この国の王子であるカイネ君に招待され、私は薄桃色の花びらが舞うペルシェを訪れていた。
数日後に『桃花祭』というお祭りが開催されるせいか、以前来た時よりも街は賑わっているように見える。
(カイネ君、元気かな?)
ふんわりとした前髪、オレンジ色の瞳……
まだあどけなさが残る彼の表情を思い出し、自然と笑みがこぼれた。
(待ち合わせ場所は、この辺りだよね?)
カイネ君との待ち合わせ場所に着くと、すぐに私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
カイネ「〇〇さーん!」
元気に両手を振りながら、カイネ君が駆け寄ってくる。
カイネ「来てくれてありがとう!ボク、キミに会うの、すごく待ち遠しかったんだ!」
(あれ?カイネ君、いつもとちょっと雰囲気が違う……)
カイネ君は、朱色を基調にした民族衣装のような服を着ている。
(服装が違うからかな?)
カイネ「〇〇さんはボクに会えるの、楽しみにしてくれてた?」
〇〇「うん、すごく楽しみだったよ」
カイネ「そっか。嬉しいな!今日は〇〇さんのこと、おもてなしするからね!」
オレンジ色の瞳をきらきらと輝かせながら、彼は満面の笑みを浮かべる。
(カイネ君、相変わらずかわいいな……)
屈託のないその笑顔は、私の心の奥まで温かくさせた…-。