第2話 大人びて見える彼

城へ到着した私は、サキアと共に客間に通された。

中庭にはまだ、霧雨が降り続いている。

従者「では、準備ができるまでこちらでお待ちください」

従者さんが静かに襖を閉め、部屋は私とサキアの二人きりになる。

サキア「……」

(サキア……?)

静寂の中、サキアは落ち着いた佇まいでじっと座っている。

(さっきはあんなにはしゃいでいたのに)

(なんだか……別人みたい)

着物姿も相まってか、普段とは少し違う彼の様子にドキドキしてしまう。

サキア「あ……。 すごい、中庭にもいろんな植物があるー……」

おもむろに彼が立ち上がり、そわそわしながら庭を眺め始めた。

サキア「ねぇ、庭を見て。ほら……不思議な草がたくさん生えてる……」

落ち着いた雰囲気が解かれ、生き生きと楽しそうなサキアを見ると、つい笑みがこぼれてしまう。

〇〇「ふふっ……」

サキア「あれ……? 僕、何かおかしいこと、言ったかな……?」

〇〇「ううん。サキアらしいなって思って」

そう言うと、サキアはなぜか大きく肩を落とした。

サキア「あー……。 せっかくの招待だから、ちゃんとしてって……みんなから言われたのに……」

(それでさっきは……意識してたのかな)

〇〇「私は、いつものサキアのままでいいと思うな」

サキア「そう……かな……?」

サキアは前髪を指先でいじると、嬉しそうに口元をほころばせた。

〇〇「それに……その着物、すごく似合ってるよ。いつもと違う雰囲気で」

サキア「……」

サキアはじっと私を見つめて……その口元に、綺麗な孤を描いた。

サキア「あなたの着物姿も、とても綺麗だね」

自然に紡がれた言葉に、頬に一気に熱が集まる。

〇〇「……ありがとう」

絞り出すように答えると、サキアは照れ隠しのように自分の着物の袖を広げた。

サキア「最初は慣れなくて……どうしようかと思ったけど……慣れてくると、いいかもしれない」

〇〇「着物、気に入ったんだね」

サキア「うん。この袖のところとか、あわせのところー……物をしまっておけるから」

〇〇「え?」

サキアの袖の中から、摘んできた薬草や木の実が次々と出てくる。

サキア「ね……? 便利」

〇〇「……ふふっ」

サキアらしい感想を聞いてまた笑ってしまうと、彼は不思議そうに首を傾げた…-。

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