第4話 静かな時

木々の緑が、青空から降り注ぐ雨粒を弾いている…―。

フォーマ「静かだな……」

○○「うん、そうだね」

街を出た私達は、森を散策していた。

フォーマ「雨が降ると人のざわめきがなくなるから好きなんだ」

耳を澄ますと、葉に落ちる雨粒の音だけが聞こえる。

フォーマ「それに、この国の人からはあまり負の感情を感じない。静かだ……」

静寂に溶けていく彼の言葉が、切なく胸に響いた。

(そういえば、茶室でも……)

ーーーーー

フォーマ「ここは……静かでいいな」

ーーーーー

どんなに少量の毒でも察知することができるフォーマは、それと同じように、他人の隠し持っている負の感情も察知してしまう能力がある。

(だから、静かな場所だと安らぐんだろうな……)

私は複雑な気持ちを抱えながら、森へと視線を向けるフォーマを見つめた。

フォーマ「……こうして君と落ち着いた時間を過ごすことができるなんて、思いもしなかった」

穏やかな笑みを浮かべる彼が、私の手を包み込むように握る。

○○「……!」

フォーマ「嬉しいよ」

彼の大きな手の温もりに、鼓動がどくんと跳ねた。

○○「……私も」

フォーマ「君は本当に不思議な人だ。傍にいるだけで、心がすっと軽くなる」

静かに紡がれる言葉が、私の頬を熱くする。

フォーマ「雨の日も意外と悪くないだろう」

傘を傾けると、彼は笑顔で天を仰ぐ。

太陽の光が、雨粒と彼の顔を美しく縁取っていた。

○○「うん。フォーマ、雨の日が本当に好きなんだね。 今日、すごく楽しそうだから

フォーマ「それは……君が隣にいるからだ」

○○「えっ……?」

驚く私を見て、フォーマがくすりと笑みをこぼす。

フォーマ「君は心が綺麗だけど、鈍いのは少し問題だな」

(鈍いって……)

フォーマ「でもそうやって、すぐに顔に出るところが僕は…―」

飛び立つ鳥の羽音が、フォーマの言葉を奪ってしまった。

フォーマ「行こう」

言葉の続きが気になったけれど、いつもより大人っぽいフォーマの微笑みに心を奪われて、何も告げることができず……

私は彼に寄り添い、雨の音に耳を傾けながら歩き出したのだった…―。

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