第3話 笑顔の輪

レコルドの街の上に、青空が広がっている…-。

はつらつとしたルグランジュくんを、輝く太陽が照らしていた。

ルグランジュ「気持ちのいい天気だね!」

(よかった。昨日よりも元気そう)

彼が気に入っているという店でアイスクリームを買った私達は、近くのベンチに座る。

早速すくって口へ運ぶと、ほどよい甘さと冷たさが広がった。

ルグランジュ「オレのおすすめの味はどう?」

〇〇「すごくおいしいです。ルグランジュくんの方はどうですか?」

ルグランジュ「今日は初めての味に挑戦したんだけど、大正解だよ。よかったら君も食べてみる?」

彼はアイスクリームの乗ったスプーンを、無邪気に笑顔で私の差し出す。

(! 食べさせてくれるっていうこと……?)

意識をした途端に、顔に熱が集まってきてしまう。

すると……

ルグランジュ「……どうしよう。君のが、オレにまで移っちゃったみたい」

気づけば、ルグランジュくんの顔も赤く染まっていた。

〇〇「ごめんなさい」

ルグランジュ「ううん。オレこそ、いきなりびっくりさせちゃったよね」

赤くなった顔を誤魔化すように、彼は私の口元にスプーンを近づける。

ルグランジュ「ほら、溶けちゃう前に食べた方がいいよ」

〇〇「は、はい。いただきます」

私は気恥ずかしさを感じながら、アイスクリームを口に入れた。

(あ……この味もおいしい)

笑みをこぼす私を見て、ルグランジュくんも優しく目を細める。

その時、ルグランジュくんと同じ年齢くらいの男性が歩いて来た。

男性1「ルグランジュ、仲良いな~!」

ルグランジュくんの友達と思しき男性に、私達は冷やかされてしまう。

ルグランジュ「そんなことっ……!」

笑いながら去っていく友達に、彼は慌てて言葉をかけようとするものの、途中で言葉を止め、照れた顔で私の方を振り返った。

ルグランジュ「……そんなことあるって、思ってもいいのかな?」

(え……?)

ルグランジュ「オレはそうだと嬉しいんだけど」

意外な言葉に、鼓動が大きく高鳴る。

〇〇「私も……嬉しいです」

恥ずかしさと緊張で少し声が震えてしまったけれど、どうにか自分の想いを伝えた。

その瞬間、ルグランジュくんは表情をほころばせ……

ルグランジュ「ありがとう。本当に嬉しいよ」

彼の笑顔はアイスクリームよりもずっと甘く、私の心を満たしてくれたのだった…-。

……

時間はあっという間に過ぎ、夕焼けの空が紺色に変わり始めている…-。

今日一日、楽しい時間を過ごした私達は、帰路につこうとしていたのだけれど……

男の子「ひっく……ぐすっ……」

ルグランジュ「ほらほら。オレ達がお母さんのところに連れて行ってあげるから、もう泣かないで」

ルグランジュくんはしゃがみ込んで、男の子と視線の高さを合わせる。

お母さんとはぐれてしまったという男の子は、大粒の涙をこぼしていた。

〇〇「絶対に見つかるから大丈夫だよ」

二人で一生懸命なぐさめるけれど、男の子は一向に泣き止まない。

私は思わずルグランジュ君の顔を見る。

すると……

ルグランジュ「よーし! それじゃあ、皆でお母さんを探そう!」

突然ルグランジュくんが勢いよく立ち上がった。

ルグランジュ「君、しっかり掴まっててね」

そう声をかけるや否や、ルグランジュくんは男の子を肩車する。

男の子「わ……!」

ルグランジュ「高いところなら、お母さんを見つけやすいでしょ?」

何を言っても泣き止まなかった男の子が、ぴたりと泣き止む。

それどころか、その顔は少しずつほころんでいった。

男の子「うん! すごい、すごい! お兄ちゃん、もっと高くしてー!」

ルグランジュ「これ以上は無理だって~」

女性1「ふふっ。ルグランジュ、懐かれているね!」

ルグランジュ「さっき友達になったんだ」

男性2「ルグランジュは誰とでも仲良くなれるな」

じゃれ合う二人の様子が微笑ましいのか、街の人達が次々と声をかけてきた。

ルグランジュ「誰か、この子のお母さんを知ってる人はいない?」

女性2「さっきそれっぽい人を見かけたわ。隣の通りよ」

男の子「本当!?」

男の子が、ぱっと笑顔になる。

するとその姿を見た人々も笑顔になって……

(あっという間に周りが笑顔でいっぱい……ルグランジュくん、すごいな)

ルグランジュくんを中に笑顔の輪が広がっていく様を、一番近くで見ていた私も、気づけば笑顔になっていたのだった…-。

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