第2話 プリズムショー?

森の木々達がさわさわと、はやし立てるように葉を擦り合わせる…―。

チェシャ猫「ア~リス♪アリス、ア~リ~ス♪」

チェシャ猫は甘えるような声を出し、私の周りを一周する。

(チェシャ猫、またアリスって呼んでる)

この国には、その昔『アリス』という少女がいたらしい。

(だけどアリスは突然いなくなってしまって……)

その後、この不思議の国・ワンダーメアは変貌を遂げ、多くは近代的な様相となってしまった。

○○「そうだ。チェシャ猫、今日はプリズムショーの練習のために呼び出したの?」

チェシャ猫「んん?プリズムショー?」

まるで初めて聞いたかのように、チェシャ猫は小首を傾げてしまう。

○○「マーチブローで、プリズムショーを観た時にマーチア達と話してたよね? 皆で練習して、プリズムショーをやってみたいって」

(だから、この格好をしてるんだと思ったんだけど)

けれど…―。

チェシャ猫「あ~、そんなこともあったけど、もうどうでもいいかな」

○○「どうして?あの時は、あんなにやりたがっていたのに」

なお問いかける私から、チェシャ猫はつまらなそうにふっと体を離した。

チェシャ猫「あの時は、楽しくなりそうかな~って思ったけど。 ジャンプしててもキラキラしないし、できないんだもん。つまんなーい」

(飽きちゃったってことなのかな……)

チェシャ猫「そんなことより、アリス~~!ぼくと遊ぼうよっ。ね?」

(あんなに目を輝かせていたのに……)

チェシャ猫のキラキラと光る瞳を思い出すと、複雑な心地になる。

チェシャ猫「ん~……ア~リス!つまんない顔してどうしたの?」

○○「えっと……」

答える言葉に困っていると、チェシャ猫が私の顔を覗き込んだ。

チェシャ猫「ア~リス?」

もう綺麗さっぱり忘れてしまったかのように、彼は無邪気に笑っている。

○○「……チェシャ猫がすごくキラキラしてたから。 ちょっと、残念だなって……」

チェシャ猫「……そんなにぼくのショーが見たいの?」

三日月型に目を細め問うチェシャ猫に、私は素直に頷いた。

○○「うん。だって、すごくいい顔してたから」

チェシャ猫「ふふーん……そぉんなに、ぼくのショーが見たいんだ?」

○○「っ……」

チェシャ猫が、ぐっと顔を寄せる。

チェシャ猫「そんなにぼくのこと好きだったなんて、嬉しいにゃあ」

○○「チェ、チェシャ猫……」

チェシャ猫「ふふ。どうしたの~?アリス、顔が真っ赤だよ♪」

○○「チェシャ猫が……からかうからだよ」

私の言葉に満足したのか、チェシャ猫はさらににんまりと目を細めた。

けれど……

チェシャ猫「でーも、もう練習しないよ?今日は遊ぶって決めたの」

(無理強いするわけにはいかないし……残念だけど仕方ないか)

チェシャ猫「今日は、行きたいところがあるんだ。一緒に行こうよ!」

嬉しそうにそう言うと、チェシャ猫はさっと私の手を取り、深い森の奥へと歩き出した…―。

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