第5話 ボルケウス

部屋には、重苦しい空気が流れていた…―。

原因不明の病に倒れた私を前に、ハルとお医者様は、ずっと難しい顔をしている。

(ハル…―)

私の手を握ってくれたハルの顔を見上げた時……

ハルディーン「そういえば……モンスティートにはどんな病にも効く万能薬があるって聞いたことがあるぞ?」

医者「それは、かの凶暴なモンスター、ボルケウスの体液のことですかな?」

ハルの言葉に、お医者様は口元を隠して目を細めた。

ハルディーン「ボルケウスでもなんでもいい!万病に効くって言うなら、今すぐオレが捕ってきてやる!」

医者「なっ、無謀なことはおやめなさい!! ボルケウスと言えば、アヴァロン城のモンスター討伐部隊ですら手を焼く怪物ですぞ!?」

聞けばこのあたりの森の奥地に生息するボルケウスの体液は、万病に効く霊薬と言われているが、そもそも人前にはめったに姿を見せない幻の存在らしい。

医者「ちょうどアヴァロンの討伐隊も出発したばかりで……彼らもいない今、危険過ぎます……!」

ハルディーン「じゃあ、どうしろっていうんだよ!このまま黙ってろっていうのか!? ○○……っ」

ハルは複雑な表情で、悔しそうに私の名前を呼ぶ。

ハルディーン「オレは……呪いなんて信じてない……けど」

しばらくの間、無言のまま時が流れた。

ただハルはずっと私の手を握ったまま……。

ハルディーン「……○○」

その時、ふっと彼の表情が、らしくないほどに大人びた。

(……ハル?)

何故か胸の奥が締め付けられるように痛くなって、私は…―。

○○「お願い……無茶だけは、しないで……」

ハルディーン「無茶だなんて……オレはただオマエを助けたいだけだ……!」

苦しげな彼の顔に、言いようのない不安を感じ始める。

(そんな顔……しないで)

その時、ハルの瞳にそれまでとは打って変わって力強いものが宿った。

ハルディーン「……絶対オレが、オマエを助けてやるから」

○○「え……ハル……?」

ハルディーン「必ず……オレがボルケウスを見つけて、○○のところに持ってきてやる……!」

固い決意が込められた言葉は、胸を締めつける響きを持っていた…―。

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