武器の国・アヴァロン 薫の月…―。
古くから独特の生態系を有し、巨大生物が生息するモンスティート大陸……
アヴァロンでは、それらを倒すための武器開発が盛んに行なわれている。
私はその独自文化の視察をして欲しいと、アヴァロンに招かれていた…―。
(すごい人の数……!)
アヴァロンの街では、ちょうど大きな狩猟競技が開かれており、街は大勢の人々で賑わっていた。
武器商人1「さぁさぁ見てくれ、この大剣を!王家御用達の工房の新作だよ!」
武器商人2「いやいや、この巨大な戦斧こそ今日一番の掘り出し物さ!」
(さすが、武器の国……本当にいろんな種類があるなあ)
人でごった返す市場を見て回っていると…―。
??「おい!オマエ、シュガーか!?」
○○「え?」
人懐っこい声が聞こえて、後ろを振り返った。
○○「ハル……!」
ハルディーン「やっぱりシュガーか!久しぶりだな、こんなところで会うなんて」
まぶしい笑顔をくれたのは、紅茶の国・テイシャのハルディーン王子だった。
彼は私の顔を見るなり、ひとっ跳びに私に抱きついてくる。
○○「っ、ハル!」
ハルディーン「相変わらずこれくらいで赤くなって、ほんとシュガーは可愛い奴だな」
彼の腕に包まれて、胸が小さな音を立てる。
(シュガー、か)
(呼ばれて悪い気はしないけど、やっぱりまだ慣れない……)
シュガーというのは、彼の国に初めて訪れた時に、自由奔放な彼が、私につけてくれたあだ名だった。
(あれ……)
気恥ずかしさに頬に熱を感じ始めた時、彼の腰元で輝く剣が見えた。
○○「ハル、その武器は?」
ハルディーン「ああ、これか?」
腰に下げた二本の曲刀を手に取り、ハルは曲芸師のように宙に投げる。
アヴァロンの強い日差しを受けて、黒い曲刀は妖しい光を放っていた…―。