映画の国・ボディブル・宙の月…―。
ボディブル国のアクションを影から支える名スタント、ジェットさん……数日前、そんな彼から便りがあった。
ジェット「礼がちゃんとできてなかったな。よかったら今度、遊びに来いよ」
彼は目覚めた後、自分が眠っていたことで映画に穴を空けてしまったと、スタッフへの謝罪のため、その場からすぐに去ってしまった…―。
(あの時はあまりお話ができなかったけど、どんな人なのかな?王子様が、スタントマンをしてるなんて……)
そのことに疑問を持ちながらも、私は彼の待つ城へと向かった…―。
一見大きなビルのように見える城内は、さながら撮影現場のようだった。
慌ただしく映画業界の関係者が行き来し、人や物の出入りも多い。
(すごいなあ……)
物珍しさに、まじまじとその様子に見入っていると……
ジェット「よお!よく来たな」
カジュアルな格好のジェットさんが、手を上げながら軽快に駆け寄ってくる。
○○「お久しぶりです。すごく賑やかなんですね」
ジェット「んー、まあな。一応……代々名アクション俳優出してる名家ってことになってるし」
ジェットさんは、私から視線をやや逸らして話す。
○○「……?」
ジェット「そんなことより、来いよ!いろいろ案内してやる」
○○「あっ」
不意に、腕をぐいっと引かれて歩み出す。
私の腕を掴んだ彼の手は、乱暴だけどなぜだか温かさを感じて……私は期待に胸を膨らませながら、彼と城の奥に向かうのだった…―。