泡沫の国・アフロス 蒼の月…―。
この季節、世界中の王族達が、アフロスで一堂に会する。
この国に古くから伝わる婚宴の儀により、神々からの祝福を承るために…―。
それは私も例外ではなくて、儀式に招待され、こうしてアフロスの地を訪れていたのだった。
儀式の場となる神殿に設えられたステンドグラスを見上げる。
(すごい……なんて荘厳な雰囲気……)
光と色を織り成す厳かな美しさに緊張し、ため息をつく。
するとそこに現れたのは……
アヴィ「お前、なんでここにいるんだよ」
○○「えっ、アヴィ!?」
見知った顔に出会ったはずなのに、胸が、とくん……と高鳴った。
目の前に現れたアヴィは白い礼服を身にまとい、
いつもとは違うどこか整然とした雰囲気を漂わせていた。
アヴィ「……。 何だよ」
○○「あっ! ううん……婚宴の儀に招待されて」
アヴィ「そうか」
燃えるような赤い髪も、意志の強そうな青紫色の瞳も、いつもと変わらないはずなのに、目が離せない。
(見惚れてたなんて、言えない……)
まだ心臓が落ち着かなくて……
胸元を押さえると、コツンと額をアヴィに小突かれた。
アヴィ「……しっかりしろよ。 トロイメアの姫として、招待されてるんだろ?」
○○「……うん……」
ふっと表情を和らげて笑ってくれる。
これまでの堅苦しさが楽になった気がして、私の口元も自然に緩む。
(よかった……アヴィも一緒なら、心強いな)
こうして私達は、婚宴の儀が行われるまでのわずかな時間を、共に過ごすことにしたのだった…―。