第5話 愛という光

何もかもが真白に染まる中から、次第にホープの意識が浮かび上がってくる。

重いまぶたをゆっくりと開いたホープは、見覚えのある場所にたたずんでいた。

幼いホープ「父上、ご苦労様です」

夢王「ホープじゃないか。まだここへ来てはいけないと、言っているだろう?」

奥にある重厚な扉が開き、在りし日の夢王が姿を現す。

(父上……)

そこは、夢王の祈りの間へ続く大回廊だった。

幼いホープ「だって、早く俺も父上みたいに、世界の人に夢を与えられるようになりたいんです」

夢王「それは、もっとお前が大きくなってからだ」

幼いホープ「でも…-」

夢王は幼いホープの頭に手を乗せ、優しく数度撫でた。

夢王「いいかいホープ。人間は……望まずにはいられないんだ。 その望みは時に、他者を傷つけることもある」

幼いホープ「……」

夢王「だが、私達はそれをすべて受け止め……そして信じ続けなければならない。 それはね、ホープ。とても難しいことなんだよ」

幼いホープ「父上はどうして、それができるんですか?」

夢王「それは…-」

夢王が言いかけた、その時…-。

幼いライト「父上! ホープ!」

祈りの間とは反対側の扉が開き、ライトが顔を覗かせる。

幼いライト「ずるーい! またホープばっかり父上とお話してー!」

幼いホープ「俺は、父上のお手伝いをしにきたんだよ」

幼いライト「えー!」

頬を少し膨らませるライトに、夢王は優しく微笑みかけた。

夢王「ライト、こっちへおいで」

二人の方へ早足で歩いてきたライトをふわりと受け止め、夢王は同じように彼の頭を撫でる。

夢王「これでいいだろう?」

幼いライト「えへへ……はい!」

頬を緩ませるライトを見て、幼いホープは少し不満そうに口の端を下げた。

そんな二人に、夢王は…-。

夢王「だが二人とも、いつまでも甘えてはいけないよ? もうすぐ二人とも、お兄ちゃんになるんだ。 生まれてくるお前達のきょうだいを、しっかり守ってやるんだぞ」

夢王の言葉に、幼い二人が顔を見合わせる。

幼いホープ・幼いホープ「お兄ちゃん……?」

数度目を瞬かせ、そして笑顔で頷き合った。

幼いホープ・幼いライト「はい!」

3人の笑い声が、回廊の天井に朗らかに響く。

ホープ「……」

ホープはその光景を、ただぼんやりと見つめていた。

(〇〇を、守る)

(〇〇を…-)

交わした約束を反芻していると、ふと夢王がホープの方を向き…-。

夢王「……ホープ」

ホープ「! 父上……?」

先ほど幼いホープにそうしたように、夢王は慈しむように今のホープに笑いかけた。

ホープ「父上……」

懐かしさと切なさが、ホープの胸を引き絞る。

(俺は……父上との約束を…-)

ホープ「父上、俺は…-!」

夢王「お前達こそが、私の光だった」

ホープ「……!」

夢王「お前達がいたから、夢が見られたんだよ」

―――――

ライト『君がいてくれてよかった。 僕一人では、きっと頑張れないよ』

―――――

夢王「だから…-」

ホープ「待ってください、父上…-!!」

まばゆい光に包まれ、夢王の姿が薄れていく。

幼いホープ「光は……いつもすぐ傍にあった」

白い光が辺りに満ちて……伸ばしたホープの手は、宙を掴んだ…-。

……

混濁する意識の中で、ホープはあることを悟る。

(もう、時間があまり残されていない)

時が移り変わる度に、何度も意識が遠のいて……すべての感覚が薄れていく。

(俺は…-)

幼いホープ「……会いに行こう。 彼らもそう望んでいるから。 でも……ごめんね。一度きりだ」

最後の力を振り絞るように、ホープは天も地もないこの空間で身を起こそうとする。

ホープ「ライト……」

(お前に、言わなければ)

ひときわまばゆい光が、薄れゆくホープの体を包み込んだ…-。

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