第3話 同じ夢

やがて光が薄れ、次にホープが目を開くと…-。

??「夢王様!」

??「夢王様、万歳!!」

ライト「ありがとう。皆に夢溢れるよう……私のすべては、この世界のために」

白のバルコニーで、ライトが大勢の民に向かい手を振っている。

その指には、ホープが〇〇に渡した夢王の指輪が嵌まっていた。

ホープ「夢王……だと?」

(なんだ……これは)

(こんな記憶は…-)

民の歓声を浴びるライトの後ろでは、自分と〇〇が誇らしげに彼を見守っている。

やがてライトが後ろを振り向くと、二人は幸せそうに微笑んで……

ホープ「人気者だな、夢王様」

ライト「もう、からかわないで。毎回すごく緊張するんだから…-」

ホープ「大丈夫だ。お前が失敗しても、上手く助けてやるから」

ライト「……君に頼ってばかりっていうのも、僕としてはなんとかしたいんだけどね」

ホープ「いいじゃないか。 一人で抱え込むな。俺達はいつもお前の傍にいる」

ホープの言葉に同意するように、〇〇も柔らかく目を細める。

ホープ「3人一緒の方が、大きな夢を見られるだろう?」

ライト「……ありがとう、ホープ」

そしてライトは、再び群衆に向かい手を振り始めた。

憂いなど何もない、晴れやかな表情で…-。

ホープ「こんなものは、ない…-。 こんな光景はありえない。 俺は……いったい何を見ているんだ!!」

―――――

幼いホープ『忘れた夢、失った夢、胸に秘めた夢……それは誰もが持っているもの』

―――――

ホープ「失った……夢……?」

ホープの声に応えるように、光の粒がふわりと彼の周りを舞う。

やがてその粒子が折り重なり、幼いホープの姿を形作っていく…-。

幼いホープ「……」

ホープ「お前は…-」

幼いホープ「これは……俺が失った夢。 そして、ライトが失った夢でもある。 俺達は……同じ夢を見ていた」

ホープ「……」

呆然とするホープの耳に、鳴り止むことのない歓声が響く。

トロイメアの民「夢王様! 夢王様!!」

ホープ「違う…-」

モゼル「夢王様へ、我々も今後ますますの忠誠を」

バレッチ「すべては夢溢れる未来のために!」

ホープ「……っ」

ホープが夢を奪った家臣……モゼルとバレッチが、ライトに深く頭を下げる。

バレッチの表情は、ライトを手にかけた時の醜悪さは欠片もなく……

心から主のために尽くそうとする、忠義厚い家臣のものだった。

ホープ「違う。そいつらは……汚い奴らだ」

―――――

襲撃者『夢王の指輪を奪い、俺達がすべてを手に入れるんだ!』

バレッチ『私はトロイメアを守っただけだ! この偽物の王を弑してな!』

―――――

ホープ「あいつらは……欲深く、醜悪で、救いようのない奴らなんだ!! 何度も俺の大切な人を奪って……ライトの思いを踏みにじって! なのに、そんな奴らを…-」

―――――

ライト『でも、それでも僕は信じたい……人が持つ、光や優しさを』

〇〇『皆が夢を見られる世界……怯えることなく、希望を持てる世界を』

―――――

ホープ「あいつらは……救いたいと、願うんだ。 どうして…-」

幼いホープが、ホープの手をそっと握る。

幼いホープ「……俺達は、傷つきすぎた。 だから、気づくことができなかった」

ホープ「……気づく?」

民の前で凛と立つライトに視線を注いだまま、ホープはぽつりとつぶやいた。

やり場のない思いを込めるように、幼いホープは手を握る力を強め……

幼いホープ「必死に目を凝らせば、手を伸ばせば……。 ううん、少し素直になるだけで、見つけられたかもしれない」

ホープ「何を、言っている」

ゆっくりと、ホープの視線が移動する。

幼いホープを映した彼の瞳は、ひどく悲しい色を湛えていた。

幼いホープ「……行こう」

重なった手から光がこぼれ出し、ホープ達を包み込む。

白い光に体が溶け込んでいくにつれ、人々の歓声も……兄妹の笑い声も、消えていった。

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