花の精の国・ヴィラスティン 輝の月…-。
華やかで香しいこの自然豊かな地に、私はシュニー君とともにやってきた。
(明日はもう式典か……)
この国の大地と水の女神に忠誠を誓う、古くから続く伝統の儀式『花誓式(かせいしき)』…-。
そんな由緒正しい式典に参加すると思うと、それだけで少し緊張してしまう。
タンポポの一族の城で王への謁見を終え、廊下に出ると……
シュニー「何ぼうっとしてるの? 置いていくよ」
前を歩くシュニー君が、怪訝そうな顔で振り向いた。
〇〇「す、すみません。部屋を出たら、少しぼっとして……。 シュニー君はさすがですね。王様の前でも堂々としていて、格好よかったです」
シュニー「当たり前だよ。僕だって高潔なる雪の一族だからね」
シュニー君はさらりとそう言いながらも、口角に嬉しさを隠しきれないでいる。
シュニー「だけど、お前も悪くなかったよ。 すっかり僕の下僕らしくなってきたよね!」
〇〇「ふふ……ありがとうございます」
お互いに小さく笑みを交わすと、改めてこの場で再会できたことがとても幸せに思えた…-。