第2話 星空をつかまえて

グウィードさんの腕に抱かれ、ベランダから夜空へ飛び込む。

(落ちる……!)

衝撃を恐れて、ぎゅっと目を瞑った。

けれど……

(あれ……?)

歯を食いしばり衝撃を待ち構えていたのに、それはいっこうにやって来ない。

(どう、なったの……?)

グウィード「目を開けてごらん、子猫ちゃん♠」

〇〇「え……?」

恐る恐る目を開くとそこには…-。

光り輝く星空が、視界いっぱいに広がっていた。

〇〇「飛んでる……?」

グウィード「いい表現だね」

建物の壁に着地すると、グウィードさんは次の止まり木を探して飛び上がる。

〇〇「まるで星空を飛んでいるみたい……」

ドキドキと胸が高揚していく。

グウィード「気に入ってくれたかな?」

〇〇「はい……夢みたいです!」

グウィード「夢かもしれないね……」

〇〇「え……?」

グウィードさんを仰ぎ見ると、仮面の奥の瞳が細められた。

グウィード「今の僕も、この景色も、もしかしたら子猫ちゃんが見ている夢かもしれないよ◆」

(こんなに素敵なら……それでもいいかも……)

……

街並みから一つだけ飛び抜けた高い塔に、グウィードさんがふわりと降り立った。

グウィード「到着だ」

塔から見おろすと、街の明りが連なってきらきらと揺らめき、まるで天の川のようだった。

グウィード「さあ、僕が捕まえているからここに座ってごらん」

グウィードさんにつかまり、塔の縁に腰を掛ける。

その隣に彼も並んで座った。

〇〇「素敵……」

星を見つめる瞳が、仮面の奥で優しく細められる。

(仮面の下は、どんな顔なんだろう……)

グウィード「そんなに熱く見つめられると、穴が開いてしまいそうだよ」

〇〇「す、すみません……!」

グウィード「そんなに気になるかい? この仮面が」

〇〇「はい」

グウィード「素直だね、子猫ちゃん♡ さてどうしようか。キミのお願いとあらば叶えてあげたいけど……今は出来ない♠ なぜなら、僕の素顔を見た人は恐ろしい呪いに!」

〇〇「っ……!」

思わず私は息を呑んだ。

すると、彼はコツンと私の額に額を合わせた。

グウィード「呪いにかかってもいいほどに、子猫ちゃんが僕に惚れてしまったのなら仕方ないけどね♪」

仮面の奥の瞳が、面白がるように細められる。

私の顔がどんどん熱を持っていく。

グウィード「冗談だよ。 少々、星に酔ってしまったのかもしれない」

彼が星空へと視線を戻した。

見つめる先で、星々が静かに輝いていた。

……

〇〇「う…ん……」

鳥のさえずりが耳をくすぐり、私はそっと瞳を開けた。

(あれ……?)

ベッドの上から、ベランダから朝日が差し込んでいるのが見えた。

(昨日のことは夢だったのかな……)

ベランダに出て、街の喧騒を眺める。

その時ふと、ベランダの手すりの縁に一輪の黄色い花と封筒を見つけた。

〇〇「この花は……ミモザ……?」

封筒から、中に入っている洋紙を開いた。

流麗な文字で、時間や場所などが書かれている。

〇〇「これは……招待状?」

(グウィードさんが置いていったの?)

(夢じゃ、なかったんだ……!)

嬉しさに招待状と花を胸に抱いた。

可憐なミモザの花からは、優しい香りが広がっていた…-。

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