第1話 寝起きの君

こよみの国・九曜 奏の月…-。

新年の訪れを告げる『祈念の儀』を見届けた私は、ヒノトさんの招待を受け、彼の城に滞在していた。

(ん……もう朝?)

まぶたの向こうに柔らかな陽の光を感じ、ゆっくりと目を開ける。

すると、ぼやけた視界の中で白銀の髪がきらきらと輝いて…-。

ヒノト「おはよう。寝起きの君も相変わらずかわいいね」

〇〇「……ヒノトさん!?」

目の前に笑みを浮かべたヒノトさんの顔があって、寝ぼけた頭が一気に目を覚ます。

〇〇「どうしてここに……」

ヒノト「会いに来たら気持ちよさそうに眠ってたから、寝顔に見とれてた」

その言葉に頬が熱を帯び、顔を隠そうと布団を引っ張り上げる。

けれどやんわりと、それでいて力強い手に止められてしまう。

ヒノト「だーめ。かわいい顔、ちゃんと見せて? 俺は…-」

その時…―。

??「ヒノト様、何をしてるんですか。そろそろ儀式の準備に入っていただかないと」

(この声って……)

襖が開く音に視線を上げると、彼の秘書官さんが一礼して部屋に入ってくる。

秘書官「姫様、朝からヒノト様が申し訳ありません」

〇〇「いえ……」

(どうしよう……)

きちっとした姿の彼女にも寝起きを見られたことに、にわかに恥ずかしさが込み上げる。

一方ヒノトさんはうんざりしたようにため息を吐いた。

ヒノト「まったく君って人は……わかったよ。準備する」

そして流れるような所作で、私の耳元に唇を近づけて……

ヒノト「続きは、また後で……ね?」

優美な微笑みを浮かべて私の髪を撫で、名残惜しげに起き上がる。

部屋を出て行く背中を見つめながら、私は鼓動が静まるのを待つことしかできなかった…-。

第2話>>



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