森の小鳥達がさえずる中…―。
物言いたげに、ゲイリーさんがじっと私の顔を見つめている。
私達の間に挟まれた熊は、ゲイリーさんに顔を擦り寄せていた。
ゲイリー「……手を握っても、いいか?」
○○「はい……」
小さく頷くと、重ね合った手が、ゆっくりと絡んでいく。
しっかりと互いの指を絡ませ合うと、トクントクンと鼓動が速まり始めるのを感じた。
ゲイリー「○○、呪いのことだが……。 このまま本当に、俺の傍にいてもいいのか? おまえを傷つけてしまうかもしれないんだぞ」
○○「私……ゲイリーさんの力になりたいんです」
決意を込めて、私は言った。
○○「ゲイリーさんが、この国の誰よりも国や国民を愛してるって……私には感じられるから」
ゲイリー「○○……。 ……そんなことを言うのは、おまえが初めてだ……」
ゲイリーさんが、困ったような顔で微笑む。
その顔は、とても優しい表情に感じられた。
ゲイリー「不思議だな……おまえといると。呪いの恐怖や不安が、焦りが、和らいでいく……。 いつ呪いに飲み込まれて、襲いかかるかわからない。だから、いつも不安だった。 だが、おまえと一緒なら呪いに負けはしない……そう、信じたい」
○○「……はい!」
それから、照れ隠しのように頬を赤くしながら、苦笑いをする。
ゲイリー「……本当は、嬉しいんだ。ありがとう、傍にいてくれて」
絡め合った手とは反対の手がそっと伸びてきて、私の頬に触れる。
触れられた頬が熱くなって、一気に心臓が騒がしくなった。
ゲイリー「まだ手がかりは何もない、見つかったとしても何が起こるかわからないが……。 おまえは、俺が必ず守る。 そして国の未来を切り開きたい。この状況を、一刻も早く終わらせたいんだ」
不意に、ゲイリーさんの顔が近づいてくる。
そっと、瞳を閉じた。
ゲイリー「○○……」
ゲイリーさんの、熱い吐息が頬にかかった、その時…―。
~月~
私の頬を包む彼の手に、そっと自身の手を重ねた。
部下2「ゲイリー様! ゲイリー様! 大変でございます!!」
その声に、森の鳥達がいっせいに飛び立っていった…―。