第4話 昼下がりの風

昼下がり…-。

私は、一人で城の中を散歩していた。

(なんていい香り)

城の一角の花畑は、色とりどりの香りのよい花が咲き乱れている。

辺りを見渡していると、木の上で本を読んでいるフリュス君を見つけた。

〇〇「見つけた」

思わず駆け寄って彼に声をかける。

フリュス「〇〇ちゃん」

読んでいた本から目をあげて、フリュス君は私に笑いかけてくれた。

〇〇「何読んでるの?」

フリュス「ナイショ。年頃の男が読む本なんて、女の子が見るものじゃないの」

そう言って、フリュス君は本を閉じてしまう。

けれど…-

フリュス「あっ!」

本は、彼の手を滑り落ちて私の足下に着地する。

〇〇「……?」

それを拾い上げると…-。

フリュス「あ! 見ちゃだめ」

(猫の図鑑……)

フリュス君は、あわてて木から舞い降りて、私の手から本を取り上げる。

フリュス「……見た?」

(かわいい)

思わず笑みがこぼれ落ちた。

〇〇「一瞬しか見てないよ?」

笑いかけると、フリュス君は唇をとがらせて、風を捕まえた。

〇〇「あ、あの。 どこに行くの?」

フリュス「〇〇ちゃんには教えてあげない」

フリュス君は、拗ねているようだった。

フリュス「連れていってあげてもいいけど……また疲れさせちゃうかもよ?」

〇〇「大丈夫!」

急いで答えると、フリュス君が私の手をぎゅっと握る。

ふわり…-。

風が私を包み、空へと誘ってくれた。

……

やがて、私達は市街地へとやってきた。

空から見下ろしていると、街行く人々が、フリュス君に向かって笑顔で手を振っているのが見える。

〇〇「人気者だね」

フリュス「別にそんなこと……」

フリュス君は、少しだけ嬉しそうに頬を染めた。

街の人1「フリュス様、いちごソーダがありますよ」

ベランダで洗濯物を干している優しそうなおばさまが、声をかけてくれる。

フリュス「え! 欲しい。喉かわいてたんだよね」

街の人1「ちょっと待ってくださいね」

おばさまは、洗濯物を干す手を止めると、家の中に入っていく。

やがておばさまは、可愛らしい赤色の瓶を二つ抱えてベランダに出て来た。

街の人1「はい、どうぞ。今日は早いめに行方不明を終わらせて帰るんですよ」

フリュス「わ、これおいしいじゃん。シシーおばさん、ありがとー」

あわてておばさまに頭をさげて、私も早速いちごソーダをいただいた。

フリュス「ねえ、シシーおばさん、ちょっと風邪声じゃない? 後で医師に来るよう言っとくね」

街の人1「大丈夫ですよ」

フリュス「ハイハイ。後でね」

フリュス君とおばさまの会話を聞きながら、いちごソーダを口にする。

(自由だけど、優しい……)

暖かい気持ちがこみ上げて、私の頬が緩む。

(フリュス君は愛されるの、わかるな)

繋いだ手を見つめる。

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