その後、パーク内の奥へ進んでいくと…―。
ついに、目的のアトラクションへとたどりついた。
ジェラルド「見てください、あれが僕の主演した映画のアトラクションです」
○○「わあ……!」
目の前に広がったのは、ファンタジックな別世界……
○○「メリーゴーランドなんですね!」
ジェラルド「はい、その通りです!」
メルヘンでかわいい、大きなメリーゴーランドに胸がドキドキと躍り出す。
ジェラルド「子どもにも、楽しめるようにって、少しかわいくデザインして…―。 って、あれ?」
嬉しそうにメリーゴーランドを眺めていた彼の視線が、メリーゴーランドの脇で止まる。
その視線の先で、数名のスタッフが何やら難しい顔で話し合いをしていた。
○○「どうしたんでしょうか?」
ジェラルド「行ってみましょう!」
近づくと、スタッフの一人が私達に気づいて顔を向けた。
スタッフ1「ジェラルド様! いいところに」
スタッフ2「本当です! 今ちょうど演出について話し合いをしていたところで……」
ジェラルド「どんなことですか? 僕にお役に立てるならいいけど……」
スタッフ1「もちろん大助かりですよ! 何せ主役の登場なんですから」
すぐにスタッフの輪に取り囲まれ、ジェリーが話題の中心となる。
スタッフ1「つい先日、この映画の続編が決まったじゃないですか」
スタッフ2「せっかくなので、このアトラクションで続編と絡めた企画ができないかって……」
スタッフ3「業界関係者も、もちろんお客さんも話題にしてくれると思うんです!」
スタッフ2「何かいい方法はないでしょうか?」
ジェラルド「なるほど」
ジェリーの表情が真剣なものへ……映画を作る役者のものへと変化する。
○○「あの、私にも何かお手伝いできることがあれば、何でも言ってください」
ジェラルド「あなたが……? いいんですか?」
○○「はい、もちろんです」
深く頷けば、ジェリーはにっこりと笑ってくれた。
ジェラルド「じゃあ、その時にはよろしくお願いします。 とにかく、このメリーゴーランドをもっと楽しんでもらいつつ。 認知度、話題性を上げる方法……ですよね」
顎に手をあて考え込んでいる内にも、通りすぎる人達は皆一様にジェリーを振り返っていく。
(やっぱり、ジェリーは目立つんだなあ……)
その時、ある考えが私の中に浮かんだ。
○○「あの、ジェリー」
ジェラルド「○○?」
大それた提案だと思いながらも、私はジェリーにそっと耳打ちをした…―。