第3話 ポップコーンを食べながら

その後…―。

ジェラルド「目的の場所は、このパーク内の一番奥なんです」

ジェリーの案内で、彼が主演する映画を題材にしたアトラクションへと向かっていた。

ジェラルド「だからもう少し歩くことになりそうなので、立ち寄りたい場所があれば教えてくださいね」

○○「ありがとうございます」

(園内は、ジェリーの方が詳しいかな)

○○「ジェリーのおすすめの場所やお店はありますか?」

ジェラルド「おすすめですか。うーん、そうだな……」

問いかけると、ジェリーはしばらく考え込んで……

ジェラルド「あ、そうだ。 この先に、おいしいポップコーンがあるんです! 一緒に食べませんか? 大きなバケツいっぱいにポップコーンを詰め込んでくれるんですよ」

まるで子どものように、ジェリーは目を輝かせている。

○○「そんなに大きなバケツなんですか?」

ジェラルド「うん、とっても! きっと驚きますよ! ほら、こっちです!」

○○「あ…―」

ジェリーが私の手を取って駆け出す。

ジェラルド「あ」

けれど、すぐにふっと眉を下げて立ち止まった。

ジェラルド「ごめんなさい! 僕が走ると危ないんでした! 転んでしまったら……あなたを巻き込んでしまいます!」

顔面蒼白で、ジェリーが声を震わせる。

(そういえば、ジェリーは運動音痴なんだっけ)

(確か、命にかかわるレベルでって……)

○○「やっぱりまだ、克服は?」

ジェラルド「はい……ジェットや万里に頼んでトレーニングをしているものの、やはりまだ全然……。 運動音痴を克服できたら、もっと役幅も広がると思うのになあ」

ジェリーが肩を深く落とし、大きなため息を吐いた。

○○「……今日は、ゆっくり歩きましょう?」

ジェラルド「○○……?」

○○「今日は、お仕事のことは忘れて……私、ジェリーとこうしてゆっくり過ごせてとても嬉しいですし」

すると、ジェリーは私の手をもう一度優しく握りしめて……

ジェラルド「ありがとうございます。じゃあ、今日は贅沢な時間を過ごしちゃいましょうか」

少し照れくさそうに、もう片方の手で頭を掻いた。

ジェラルド「並んで歩きながら、一緒にポップコーンを食べて……おしゃべりをして過ごしましょう。 あー、考えるとわくわくしてきました!」

ジェリーの瞳がまた一段と輝き、私の心臓はトクンと大きく音を立てた。

端正な顔が無邪気に緩んで……そのくるくると変わる表情に、つい視線を奪われてしまう。

○○「私もわくわくします!」

ジェラルド「今日は二人で、めいっぱい楽しみましょうね!」

ぎゅっとジェリーの手を握り返し、私達は歩き出した。

その後、大きなポップコーンを買って食べながら歩いていると……

ジェラルド「あ……! 見てください!」

ジェリーがお土産屋に駆け寄り、アクション映画の模造刀を手に取った。

ジェラルド「こういうのを使って、こうして殺陣ができれば……!」

ざっと剣を大仰に振るい、にこりと笑う。

ジェラルド「格好いいのになって思います」

○○「でも、ジェリーはアクションの練習をすごく頑張っているから」

ジェラルド「今のも、多少はさまになってました?」

○○「……はい! とても」

ジェラルド「ふふっ、ありがとう」

小さく息を吐きながら模造刀を戻した後、代わりに何かを手に取った。

ジェラルド「はい、じゃあ褒めてくれたお礼に、これ……」

○○「え……?」

ジェリーの手が伸びてきたかと思えば、頭に何かがつけられる。

(? これは…―)

そっと頭に触れてみると、ふわりとした毛触りのものが手に当たった。

ジェラルド「あの動物映画のカチューシャです」

ジェリーの指差す先には、動物を題材にしたかわいらしい映画のポスターが飾られている。

ジェラルド「せっかくなので、僕もお揃いで……にゃんにゃん!」

ジェリーも頭に動物耳のカチューシャをつけて、動物のものまねををしてみせる。

(か、かわいい……)

無防備なその仕草に、胸がきゅんと高鳴ってしまったのだった…―。

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