第4話 マスコットに囲まれて

万里くんが駆け出した先にあったのは…―。

万里「……!!」

パークのアトラクションや映画に登場する、マスコットキャラ達が並ぶショップだった。

(こんなにたくさんのキャラクター達がいるんだ……!)

動物や宇宙人のような姿のキャラクター、中には少し奇妙なドクロのキャラクターまで……

デフォルメされたマスコット達は、皆一様にかわいらしかった。

万里「これは……!」

棚に並ぶ大量のぬいぐるみを見て、万里くんがきらきらと目を輝かせる。

万里「見てください! 私のアトラクションにちなんだ、ぱんだちゃんのぬいぐるみもあります」

○○「本当ですね。あ、こっちには小さいサイズもたくさん」

愛らしいぱんだちゃんのマスコット達に、一気に二人で盛り上がる。

万里「か、かわいい……あそこにいるぱんだちゃんなんて特に!」

彼はショップの中央にあった特大サイズのぬいぐるみの前に駆けていって…―。

(あ……)

ぬいぐるみを持ち上げると、ツートンカラーのお腹に顔を埋めた。

○○「万里くん! 誰かが見てたら……」

万里「!」

途端に彼がぬいぐるみから頭を上げて辺りを見回す。

けれど、誰もこちらを見ている様子はなかった。

万里「……よかった。ついあまりのかわいさに気持ちを抑えられませんでした」

少しだけ赤くなった顔を手で覆い、恥ずかしそうに目線を床に向ける。

私はそんな彼を見て…―。

○○「万里くん……」

(やっぱりかわいい)

うかがうような眼差しを向けられ、私は彼に笑いかけた。

万里「……まいったな。アナタにはアトラクションで格好いい私の姿を見せるつもりだったのに」

やがて、自然とどちらからということもなく笑い声が漏れ出した。

万里「っ、ふふ……あはははは!」

○○「なんだかおかしいですね……っ」

くすくすと、肩を寄せて笑い合う。

(一緒にいればいるほど、万里くんの表情に惹かれていく)

もう一度、ぱんだちゃんのぬいぐるみを嬉しそうに抱く万里くんを見つめる。

(本当はすごく格好いいスターなのに……不思議な人……)

その後、私達はぱんだちゃんのキーホルダーをお揃いで買って、店を後にしたのだった…―。

……

そろそろ太陽も中天へと差しかかった頃…―。

万里くんの瞳が、私の鞄を見て優しく細められた。

○○「どうしたんですか?」

万里「いえ、さっき買ったキーホルダー、鞄につけてくれたのが嬉しくて」

○○「はい。かわいいから……しばらくはこの子と一緒にいようかなって」

万里「○○ちゃん……」

○○「あ、でも……万里くんはいつも身につけているわけにはいかないですよね。 今日だけで…―」

すると、彼の手のひらが私の頭を優しく撫でた。

○○「……っ!」

さっきまでかわいいと思っていた彼の、大きくて逞しい手が触れて……

トクンと音を立てる。

万里「気を使ってくれてありがとう。帰ったら家の一番よく見えるところに飾ろうと思います」

○○「……嬉しいです」

万里「二人だけの秘密ですよ?」

そう耳元で囁かれ、鼓動がだんだんと速まっていく。

その時…―。

万里「……?」

○○「あれ?」

3Dシアターの前まで戻ってきた私達の目に止まったのは、シアターのスタッフさんが数人、困り顔で右往左往している姿だった…―。

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