第3話 花畑の約束

フリュス君と共に風に乗り、たどり着いた先は…-。

〇〇「綺麗……!」

どこまでも続くように色とりどりの花が咲き誇る、広い花畑だった。

〇〇「フリュス君、ここ……すごいね!」

美しい景色に胸躍らせて彼を振り返ると、フリュス君がくすりと笑う。

フリュス「機嫌、直った?」

(あ……)

さっきまで怒っていたはずなのに、気づけばすっかり笑顔にさせられていて……

〇〇「……うん、直ったよ」

フリュス「よかった」

(フリュス君……)

優しい笑みにドキリとしてしまって視線を逸らすと、ふわりと甘い香りが鼻先をかすめた。

振り返った私の耳に、フリュス君が小さな花を差す。

(あ……)

〇〇「この花、すごくいい香り……」

フリュス「よし。じゃあ、もっと!」

フリュス君の手が優しく宙を泳いで……

〇〇「……!」

彼が起こした小さな風に乗って、花の香りが優しく届く。

〇〇「フリュス君、すごいね」

フリュス「風はいつだって僕の味方だから」

フリュス君は嬉しそうに答えると、もう一度風をそよがせた。

フリュス「君が笑ってくれてよかった。 覚えておくね。君を怒らせちゃったら、またここへ連れてくるよ」

〇〇「ふふ、ありがとう。 だけど、できればもう怒らせてほしくないかな」

フリュス「あはは、そっか! ごめんね」

フリュス君が笑って、私の手を取る。

フリュス「よーし、もっと楽しもう! 次は街だ」

〇〇「……!」

風に舞う木の葉のように一気に空へ舞い上がる。

遠くにはフリュス君のお城が見えて…-。

〇〇「あ! そういえばフリュス君、メイドさん達が捜してたから、戻らなきゃ」

フリュス「ああ、そろそろアフターケアの時間だからね。大丈夫だよ」

〇〇「でも……。 皆が心配してるかもしれないよ?」

フリュス「心配してるのは君でしょ? 大丈夫。いつものことだから誰も気にしてないって」

(確かに、メイドさん達もそう言ってたかも……)

フリュス「よし、一気にいくよ。ちゃんと掴まっててね!」

〇〇「……!」

考える私をよそに、フリュス君はぐんと速度を上げた。

……

フリュス君と一緒に、街へ降り立つと…-。

男の子1「あ! エレメンタル・グリーンだ!」

女の子1「本当だ! グリーン!」

子ども達が、フリュス君の周りにわいわいと集まり始めた。

フリュス「皆、喧嘩してない?」

男の子2「グリーンが怒るからしてなーい!」

フリュス「あはは、何それ」

微笑ましい光景に、自然と頬が緩む。

すると……

街の人1「フリュス様のことは、うちの子や街の子ども達、皆が慕ってるんですよ」

傍にいた、子ども達の母親らしき女性が笑顔で話しかけてくれた。

〇〇「そうなんですか?」

街の人1「ええ。お忙しいでしょうに、いつも私達を心配して様子を見に来てくださって……」

〇〇「心配って……?」

街の人2「闇の精霊の封印がどうこうって話があってから、これまで以上にね」

街の人1「最近は毎日のように会いに来てくださるから、子ども達が喜んで喜んで」

〇〇「そうだったんですね」

街の人達の話を聞きながら、フリュス君の方へと視線を戻す。

(もしかして……)

最近いつも城に姿が見えないという彼がどこに行っていたのか想像できて、つい頬が緩む。

(皆が不安にならないようにって、こうやって出かけてたのかな)

そんなことを考えて見つめていると……

フリュス「〇〇ちゃん! 次行くよ! 次―!」

不意にフリュス君が振り返り、心臓がドキリと跳ねる。

〇〇「あ、うん!」

笑顔で差し出された手を取ると、優しい風がふわりと私達を空へ舞い上げた…-。

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