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食事を終え、レストランを後にする〇〇とダグラスを、不審な影が見つめていた。
男1「……とうとうダグラスの奴、動き出しそうだな」
男2「みたいだな……俺達も港に戻って奴を出し抜くぞ」
男達は小声で話しながら、二人の姿を目で追いかけていた…-。
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その後私達は、女主人に挨拶をしてレストランを後にした。
おいしいシーフードをたくさん食べた後、心地よい海風を感じながら歩いていると……
(ダグラスさんとマスター、さっき小さな声で何か話してたけど、あれは……)
ふとさっきのことが気になってしまい、隣を歩くダグラスさんにちらりと視線を向ける。
ダグラス「ん? どうしたんだ?」
ダグラスさんもそれに気づいたようで、軽く首をひねりながら私を見つめる。
〇〇「あ、えっと……さっきレストランでダグラスさんとマスターが話していたことが気になって……」
ダグラス「ああ、あいつ、実は情報屋なんだ。 今は飯屋なんてやってるが、前は海の上で俺と同じように宝探しをしていた」
〇〇「えっ! あんな綺麗な女性が?」
私の反応に、ダグラスさんはおかしそうに笑う。
ダグラス「びっくりだろ? 実は怖い女なんだよ」
〇〇「怖いというより、逞しいと思います」
ダグラス「そうか?」
〇〇「はい、男性に交じって宝探しをするなんて、すごいです」
ダグラスさんは、私の話を聞きながら緩く頷く。
(じゃあ、あの人はダグラスさんの仲間みたいなものなのかな……)
そう思うとなんとなくほっとして、小さく息を漏らす。
ダグラス「フフッ……」
ダグラスさんの笑い声が聞こえて、私はハッと顔を上げた。
すると…-。
ダグラス「〇〇は表情がころころ変わって本当におもしろい……本当、見ていて飽きないよ」
ダグラスさんの大きな手が、私の頬を包み込んだ。
〇〇「……っ」
驚きと恥ずかしさに、言葉を飲み込んでしまうと……
ダグラス「……」
彼の瞳が、何かを閃いたかのようにきらりと光る。
ダグラス「そうだ、〇〇、一緒に宝探しに出てみるか?」
〇〇「え!? ……私も、行っていいんですか?」
ダグラス「ああ、是非、俺の幸運の女神になってくれ」
豪快に笑うダグラスさんの笑顔が、海を照らす太陽よりもまぶしく見えた…-。