第4話 リボンの仕掛け

甘い匂いに満ちる会場内を、私は楓さんと一緒に歩き続けていると…―

(あ……可愛い)

楓「ん?これもいいな……」

楓さんが足を止めた場所で、私もほぼ偶然に一緒に足を止める。

そこには、リボンが複雑ながらも美しく繊細にラッピングされた一つの包みがあった。

展示スタッフ「これには、ある仕掛けがございまして……」

楓「ある仕掛け?」

展示スタッフ「はい、リボンをほどくと……大切な人に愛が伝わる仕掛けが施されています」

(どんなふうになっているんだろう?気になるな)

楓「それって、見られないの?」

私の考えと同じことを、楓さんが口にしてくれる。

展示スタッフ「申し訳ございません。こちらに展示されているものはすべて世界で一つだけの作品で。 購入可能なものとなっているため、中身はお見せできないんです」

楓「そう……あとは、ほどいた人のお楽しみってことだね」

楓さんは、興味深そうにじっとそのラッピングを見つめている。

展示スタッフ「左様でございます。大切な方に送られてはいかがですか?」

楓「……」

スタッフの方の声が聞こえていないかのように、楓さんはただじっとそのラッピングを見つめていた…―。

……

その後もしばらく場内を見て回り、暗くなってからやっと私達は帰路についた。

滞在先の宿まで、楓さんが送ってくれることになった。

楓「今日見た中では君は、どれが一番印象に残った?」

楓さんが真剣な面持ちで、私に問いかける。

○○「私は……お花のチョコレートと、リボンの仕掛けのものが印象的でした。 一つ一つ花びらを作っている間に、贈る相手にたくさんの思いを込められそうなのは、とても素敵です」

楓「なるほど。時間と思いは比例するかもね」

楓さんは、納得したように頷いてくれた。

○○「あの……少しはお役に立てましたでしょうか?」

やや、控えめに問うと、楓さんはふふっと笑ってくれた。

楓「うん、まあね。あとは楽しみにしててよ」

(楽しみって……何か新しい作品でも作るのかな?)

(でも、少しでも役に立てたのなら本当によかった)

夜になっても明るいショコルーテの街で、私達は微笑み合う。

この後……愛の日に起こる出来事に、甘い予感を抱きながら…―。

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