第1話 再会

チョコレートの国・ショコルーテ 白の月…―。

暖かくて優しい雰囲気の、赤や桃色、チョコレート色のオーナメントに包まれる街へ、私は、楓さんからの誘いを受けてやって来た。

(街全体が甘くていい香り……)

約束の場所へ足を向けながら、街をゆっくり歩いていると…―。

??「無事に到着したようだね。道中、迷わずに来られた?」

○○「楓さん!お久しぶりです」

声をかけられ振り返ると、黄朽葉色の髪を美しくそよがせた楓さんが、緩く微笑みながらそこに立っていた。

楓「うん、確かに久しぶりだね。君は相変わらず……のようだけれど」

楓さんの瞳が、私の足の先から頭のてっぺんまで眺めたかと思うと……

その口元に、意味深な笑みをにやりとたたえられた。

○○「あの、楓さんは……今日はお着物じゃないんですね。なんだか新鮮です」

四季の国・蓬莱の秋の一族の王子である楓さんは、芸術家としても有名だ。

絵や彫刻はもちろん、彼は街の設計をも手がけてしまい……芸術のわからない私でも、楓さんの作品のすごさに息を呑んだことを思い出す。

(以前会った時は、着物だったから……)

普段と違う彼の装いに、妙にドキドキしてしまう。

楓「今回の公務には、洋装のほうが相応しいと思ってね。 今回は、ショコルーテの城で、チョコレートの試食会だ。 やや子どもじみた企画だけど、この国の王子のリカのセンスはなかなか悪くないよ」

○○「そうなんですね……」

(楓さん、相変わらずな感じだな……でも、それがなんだか嬉しいな)

楓「君を呼んだのは、公務が終わってからもしばらくここに滞在するから、君も一緒にどうかと思ってさ」

○○「一緒に……ですか?」

楓「どうしたの。ああ、そうだ、君、勘が鈍かったね?」

○○「っ……」

楓「ふふっ、遊びすぎたかな?君の困った顔って面白いからね」

(面白いって……やっぱり楓さんって、意地悪)

そう思い、拗ねた気持ちになっていると……

楓さんがすっと私の背中に手を回した。

楓「行こう。せっかくだから街を見て回るよ。君もそのつもりだったよね?」

○○「……はい」

不意に感じた彼の手のひらの熱にドキリとした後、促されるままに歩き出す。

楓「芸術作品のために、いい刺激を受けられるかもしれないし。 それに、君と一緒にいるとインスピレーションが湧きやすいんだよね」

○○「……そうなんですか?」

楓「うん。君、ぼんやりしているように見えて、意外と観点が鋭いところもあるから。 本当……人は見かけによらないよね」

くすりと笑う楓さんの姿は、以前と同じくとても雅で美しい。

彼自身がまるで芸術作品のようで……どうしようもなく惹きつけられてしまうのだった…―。

第2話>>



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