第1話 不思議の国の入り口

薄く青みがかった灰色の空。冴え冴えと輝く月の下で、怪しい微笑みが光る。

チェシャ「やっと戻ってきたんだ…僕のアリス。楽しかった日々の記憶を失ってるのは残念だけど…ウサギの”アレ”さえあればアリスの記憶が戻るかもしれない…。待ってて。今…僕が迎えに行くからね…」

透明な月光が、露をまとった草木を照らす夜…

チェシャ猫さんを眠りから覚ました私は、彼の招待を受け不思議の国を訪ねていた。

〇〇「チェシャ猫さん、どこだろう……」

(なんだか、不気味な森だし……心細い)

人影もなく、不安な気持ちを抱いていた私は、一匹の白いウサギとすれ違う。

ウサギ「大変だ!急いで探さないと!」

白いウサギは声をかける間もなく走り去ってしまい……

私は呆気にとられて、その後ろ姿を見つめた。

(どうしたのかな?ずいぶん慌ててるみたいだったけど)

その時…

突然、聞き覚えのある声に呼び止められた。

チェシャ「ようこそ、ぼくのアリス」

〇〇「え……?」

チェシャ「アリス、こっちだよ…」

声のする方を見上げると、ピンクと黒のシマシマ模様が目に入った

(やっぱり……!)

〇〇「チェシャ猫さん」

チェシャ「ようこそアリス♪…ぼくの不思議の国へ。そしておかえり」

私を『アリス』とよぶチェシャ猫さんは、木の上で頬杖をついてねそべっている。

(『アリス』……?それに、おかえりって……私がこの国に来たのは初めてなのに)

私が首を傾げると、チェシャ猫さんの瞳が、にやりと三日月のように細められた…ー。

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