アフロスで行われる婚宴の儀には、各国から王族が集まり、連日儀式が執り行われている。
私は人の波に流されそうになりながら、街を歩いていた。
??「あの……あ……」
(すごい人、でもみんな楽しそうだなぁ)
賑やかな街に目を奪われながら歩いていると、不意に手を掴まれドキリとする。
〇〇「……!」
フリュー「…………」
〇〇「フリューさん!」
振り向くと、頬を染めたフリューさんが立っていた。
フリュー「……こんにちは。突然手をとって……すみません」
〇〇「こんにちは、フリューさんいらしてたんですね」
フリュー「はい……ヴォックスからは代表として、僕が……」
(……?)
フリュー「僕、こういうの苦手なんですけど、代表だということで頑張らなきゃと思って……」
騒がしい街の中で、フリューさんの声はかき消されてしまい、所々聞き取ることができず、私は耳を澄ませた。
フリューさんは私の様子に気がついたようで、ある方向をそっと指で示した。
〇〇「ああ、中庭の方が静かですよね。あちらでゆっくりと話しましょうか」
フリュー「うん……」
フリューさんの言いたいことを察して、私達は静かな中庭へと向かう。
フリューさんが放つ穏やかな雰囲気は、自然と私の心を癒してくれるのだった…-。