第5話 リカの想い

心地よく吹き抜ける風を感じながら、私達はショコルーテのパビリオンへとやってきた。

〇〇「わあ……!」

店先にはかわいらしいデコレーションケーキから、アレンジされたショコラドリンクまで、見た目も洗練されたメニューが、ずらりと並んでいる。

その中で、目に留まったのは…-。

(あれ、これは……お菓子じゃない?)

お菓子の形をしたアクセサリーが、きらきらと輝いている。

どれもまるで本物のようによくできていて、思わず感嘆の息が漏れるほどだった。

リカ「どう?」

〇〇「かわいいです……! 本物そっくりで、近くで見てみたくなります」

リカ「気が済むまでどうぞ? 時間は充分にあるからさ」

〇〇「はい……!」

パビリオンに漂う甘く優しい香りに誘われるように、私はそっとディスプレイに顔を寄せる。

(あ、これ。愛の日の時にいいなって思ったネックレスだ)

(あのチョコレートは、前にお土産に買ったもの……)

(……このチョコレートは、リカさんと街で…-)

〇〇「あれ……?」

(なんだか、私の好きなものばかり……?)

思わず立ち止まると、リカさんが楽しげに口元を緩めた。

リカ「気づいた?」

〇〇「私の好きなものが……たくさんあります」

ディスプレイに並ぶ懐かしいものを目にして、胸が小さく音を立てた。

〇〇「……偶然ですか?」

リカ「さあ、どうだろうな」

長いまつ毛の奥から覗く大きな瞳が、満足そうに細められる。

(もしかして……)

大それた考えが、それでも私の頭から離れない。

〇〇「……私のために、用意してくれたんですか?」

リカ「当たり。今回のワールドサロンって、お前のために開催されたものでもあるんだろ?」

リカさんはふっと笑みを浮かべると、ディスプレイに並ぶ思い出の品々を見つめる。

リカ「夢の力が強くなってる今、これからも平和でいい世界にしていくって誓いを各国が新たにすること……。 今回のワールドサロンの開催には、そういう願いが込められてる」

〇〇「はい……」

リカ「で、そこにはこの世界に夢を分け与えてくれるトロイメアへの感謝もある。 それってつまり、お前じゃん」

〇〇「そんな……それは、リカさんや各国の皆さんの協力があってできることで」

リカ「お前だから皆、協力してるんだよ」

リカさんの長い指が、私の髪をくしゃりと撫でる。

はっとして見上げると、彼の瞳が優しげに細められた。

(リカさんに言ってもらえると……不思議と自信が湧いてくる)

さっきの言葉を噛みしめながら、緩む頬を引きしめられないでいると……

リカ「〇〇」

(えっ……?)

自然と体を引き寄せられ、私はそのまま彼の胸に頭を預ける。

触れ合ったところから伝わってくる体温に、心が甘く溶けてしまいそうな感覚を覚えた…-。

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