第4話 広がっていく世界

ストリートライブを楽しんだ後、私達は同じ通りに立ち並ぶ露店を見て回っていた。

あまり知られていない一角なのか、人の姿もまばらで……けれど素敵な品物がたくさん並んでいる。

〇〇「リカさんは、面白そうな場所を見つけるのが上手ですよね」

リカ「そうか? まあ、友達とかから情報は聞いたりするけど」

〇〇「友達……」

リカさんの交友関係は広い。

私も、何度か彼の友達に会ったことがあるけれど……

(友達といる時のリカさんって、本当に楽しそうに笑うんだよね……)

私といる時とはまた違う彼の姿を思うと、ほんの少しだけ寂しい気持ちになってしまった。

リカ「わかりやすく拗ねるなよ」

〇〇「ご、ごめんなさい…-」

リカ「いいよ。ああ、行っとくけど。お前から教わることもあるから」

思いがけない言葉に、私は…-。

〇〇「え?」

リカ「まあ、ごく稀に?」

からかうような口調とは裏腹に、その声色には優しさが感じられた。

(なんだろう……)

首を傾げる私を見て、リカさんは小さな笑みをこぼした。

リカ「クリスマスとか、あとお前が今までどんなふうに新しい年を迎えてた、とか。 それって、お前と一緒にいなきゃ知らなかったことだろ?」

ショコルーテで彼と迎えた新年のことや、クリスマスのことが頭に浮かんでくる。

(確かに……リカさんと、たくさんの時間を過ごしてきた)

(いつでも、リカさんといるとすごく楽しくて)

リカ「お前といると楽しいよ」

〇〇「え?」

思っていたことをそのまま言われ、私は目を瞬かせた。

リカ「お前と出会う前もそれなりに楽しかったけど。 お前といたから気づいたこととか、すげえあるから」

綺麗に輝く瞳にじっと見つめられ、視線を外すことができなくなる。

〇〇「リカさ…-」

リカ「お前が広げてくれた世界はどれも楽しかった。 初めて会った時のこと、ついこの間みたいにも思えるし、随分長いこと一緒にいるような気もするけど。 お前といるの、すごく居心地がいい」

〇〇「……っ」

リカさんの口から紡がれる真摯な言葉が、心に熱く沁みていく。

(どうしよう……嬉しい)

〇〇「私も、リカさんといると楽しくて……ずっと一緒にいたいです」

先ほど芽生えた気持ちが花開くように、素直な言葉が口をつく。

すると、リカさんは一瞬はっと目を開いた後……微かに頬を赤く染めた。

リカ「……その言葉、撤回するのなしな」

〇〇「……!」

不意打ちのような彼の表情に驚いて、言葉を忘れてしまう。

リカ「なんだよ」

〇〇「いえ……なんだか、珍しいリカさんが見られたなって」

リカ「あのなあ……」

彼はふっと息を吐いて、気を取り直すように私の手を握った。

リカ「じゃあ、そろそろ俺んとこ行くか」

〇〇「ショコルーテのパビリオン……すごく楽しみです!」

弾む気持ちを抑え切れず、繋いだ手に力を込める。

すると、リカさんも私の想いに応えるように、手を握り返してくれるのだった…-。

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