第2話 デートの理由

太陽の光を受けて、ミヤの髪がきらきらと輝いている…-。

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ミヤ『今日一日、あなたをエスコートさせていただけませんか?』

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その凛とした佇まいに、いつもの親しみやすさとは違う雰囲気が感じられた。

(ドキドキする……)

胸の高鳴りを抑えていると…-。

ミヤ「なーんてね。びっくりした?」

かしこまった表情から、途端に悪戯っぽい笑顔へと変わる。

ミヤ「でも、たまにはこういうのもいいでしょ?」

〇〇「! ……もう。びっくりしたよ」

ミヤ「あははっ! ごめんごめん。 でも、キミをエスコートしたいなっていうのは本当だよ。 どうかな? せっかくのワールドサロンなんだし、いろいろ遊んでみない?」

弾んだ声が、私の気持ちを軽くしてくれる。

(このまま一人でいても、きっと明日のことばかり考えちゃうだろうし)

〇〇「うん、行きたい!」

ミヤ「そうこなくっちゃ!」

ミヤは改めて、私の前にすっと手を差し出した。

ミヤ「では……姫、お手をどうぞ」

〇〇「ありがとう!」

ミヤの手に自分の手を重ねると、優しく包み込まれるように握られる。

(やっぱり……ミヤといると、ほっとする)

彼の温もりに安らぎを覚えて、私も繋いだ手にきゅっと力を込めるのだった…-。

……

ワールドサロンに広がる楽しげな声が、私達の耳に心地よく届けられる…-。

ミヤ「〇〇ちゃん、どのパビリオンに行ってみたい?」

〇〇「いっぱいあって迷っちゃうね」

どれか一つに決められないくらい、どのパビリオンも興味深いものばかりだった。

〇〇「どれも楽しそう。やっぱりミヤと来てよかった」

思わずこぼれた言葉に、ミヤの口角が上がる。

ミヤ「広い部屋に一人でいると、余計緊張しちゃうもんね」

(もしかして……私のことを気遣って外に連れ出してくれたのかな)

さりげない優しさが、胸を温めてくれる。

〇〇「誘ってくれてありがとう」

ミヤ「オレが〇〇ちゃんとデートしたかっただけだよ」

気恥ずかしそうに顔を逸らした後、ふとミヤの表情が真剣なものへと変わった。

ミヤ「公務って、やっぱり緊張するよね。 オレも任せてもらえるようになってからは、今の自分に何ができるだろうって……いつも考える」

ワールドサロンにいる皆の笑顔を見つめながら、ミヤが目を綺麗に細める。

そのまっすぐな瞳は、もう双子の兄であるイリアさんへのコンプレックスは感じられない。

(ミヤ……変わったな)

彼の横顔がまぶしくて、目を離せずにいると……

ふとこちらを向いたミヤと視線が交わり、心臓が大きく音を立てた。

〇〇「あ……」

焦って上手く言葉が告げられずにいると、私達のすぐ横を恋人達が通り過ぎる。

男性「もう少しでクリアできたのになー!」

女性「グレアム王子が監修しているゲームなんでしょ。脱出できる人なんているのかしら?」

その会話を聞いて、ミヤの目がきらきらと輝き出す。

ミヤ「グレアムが考えたゲームだって! ねえねえ、行ってみない?」

〇〇「面白そうだけど……難しくないかな?」

ミヤ「大丈夫! オレ、グレアムに関してはちょっと詳しいつもりだし」

ミヤはミステリー作家である文豪の国の王子、グレアム君のファンで……

以前にも、彼に会いにミステリアムまでやってくるほどの入れ込みようだった。

ミヤ「それに、飛行船で空のデートもできるしね」

パビリオン間の移動は、飛行船で行うことになっている。

(空のデート……)

さりげなく告げられた彼の言葉に、胸がまた甘く騒ぎ出すのだった…-。

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