第1話 思いがけないお誘い

澄んだ空を、たくさんの船が行き交っている…-。

夢の力が強まったことを祝福し、世界各国が集まる『ワールドサロン』が、盛大に執り行われていた。

(……緊張してきちゃった)

私は明日、ここで行われるセレモニーでトロイメアの姫としてスピーチをすることになっていた。

世界各国の王族が勢揃いする、とても厳かな場……

(そう考えると……どうしてもドキドキしてしまう)

胸のざわめきを抑えられず、もうずっとそわそわしてしまっている。

(今からこんなんじゃ、駄目だよね)

心を落ち着かせようと、胸に手をあてて小さく呼吸を繰り返していると…-。

??「〇〇ちゃん」

扉の向こうから、人懐っこそうな声が聞こえてくる。

(この声は……)

〇〇「もしかして、ミヤ?」

私の声に応じるように、ミヤが扉から顔を覗かせた。

ミヤ「キミがここにいるって聞いて、会いに来ちゃった」

明るい声と優しい笑顔に、張り詰めていた気持ちが緩んでいく。

〇〇「嬉しい、ありがとう」

(ミヤの顔を見ると、なんだかほっとする)

ミヤ「どうかした?」

〇〇「えっ?」

ミヤが傍まで来て、心配そうに私の顔を覗き込む。

ミヤ「いつもより、元気ないかなって」

気遣わしげな眼差しに、心の中を見透かされたようで…-。

(ミヤにはなんでも見抜かれちゃうみたい)

〇〇「明日のスピーチのことを考えてたんだ。でも大丈夫」

心配をかけてはいけないと、私は口角を上げ笑顔を作った。

ミヤ「……」

すると…-。

ミヤ「あのさ、今日って何か予定ある?」

〇〇「え? 特にないけど……」

ミヤ「じゃあ、決まりだ」

目を細め柔らかな笑みを浮かべると、ミヤが私にすっと手を差し出す。

ミヤ「今日一日、あなたをエスコートさせていただけませんか?」

優雅に一礼され、ドキリと胸が高鳴る。

(ミヤが、私を……?)

恭しいミヤの振る舞いに、私は思わず見とれてしまっていたのだった…-。

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