第1話 街での再会

記録の国・レコルド 凪の月…-。

風に花の香りが混じり始めた頃…-。

私は、プリンスアワードの式典に招待され、記録の国を訪れていた。

(プリンスアワード……誰が、選ばれるんだろう)

(なんだか、ドキドキする)

弾む胸に手をあて、街へと足を踏み出した。

立ち並ぶ建物に太陽の光が注ぎ、行き交う人々の笑顔もきらきらと輝いている。

プリンスアワードに向けて、街の雰囲気も活気づいていた。

(あれ……?)

人混みの隙間から、見知った後ろ姿を見かける。

(あれは、もしかして)

慌てて追いかけると、彼は裏路地に足を踏み入れるところだった。

〇〇「あの……!」

彼が、ゆっくりとこちらを向く。

〇〇「やっぱり、キースさん」

キース「……お前か」

〇〇「あ、あの……!」

キースさんは一言だけつぶやくと、さっさと裏路地を進んでいく。

私は、急いでキースさんの後を追った。

〇〇「やっぱり、キースさんもいらっしゃってたんですね。 プリンスアワード、楽しみですね」

キースさんはこちらを見ようともせず、吐き出すようにつぶやく。

キース「俺は興味がない」

〇〇「え……」

キース「王子としての手腕は持ち合わせているつもりだ。ここで名誉を与えられても仕方ない」

〇〇「そうですか……でも、式典には行かれるんですよね?」

キース「礼儀として招待には応じるべきだろう」

〇〇「でも、楽しそうな催し物もあるようですし……」

風が、キースさんの黒髪を柔らかく揺らす。

不意に、切れ長の瞳が私に向けられた。

キース「お前は、そんなに楽しみにしているのか?」

〇〇「……もちろんです。今からわくわくしています」

キース「……そうか」

キースさんは顔を背け、歩き続ける。

〇〇「あ、あの……」

前を歩くキースさんの背中を、私は小走りで追いかけた…-。

第2話>>



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