・・・
サキア「あれ・・・・・・?」
立ち止まったサキアは、辺りを見回した。
サキア「○○・・・・・・?」
さきほどまで隣にいた、○○の姿はどこにも見当たらない。
サキア「もしかして・・・・・・はぐれちゃった・・・・・・?」
サキアはすぐに来た道を引き返して、○○を探してみるけれど、
その姿は簡単には見つかりそうになかった。
サキア「僕の悪い癖・・・・・・だ。 夢中になると・・・・・・周りのことが目に入らなくなっちゃう・・・・・・。 「○○に楽しんで欲しくて・・・・・・誘ったのに・・・・・・」
サキアの説明を、一生懸命に聞いてくれていた○○の姿を思い出す。
サキアはため息をつきながら、肩を落とした。
サキア「捜さないと・・・・・・」
顔を上げて、気持ちを切り替えるように頭を振る。
サキア「謝らなくちゃ・・・・・・」
・・・
○○「・・・・・・っ!」
サキアが進んでいった道をたどる途中で、私は立ち止まっていた。
視線は前方の木へとはりついた、巨大なクモにそそがれている。
(お、大きい・・・・・・)
避けて通ればいいだけなのに、その大きさにどうしても足がすくんで動けない。
すると・・・-。
サキア「○○!」
息を切らせて駆け寄ってきたサキアが、私の顔を見るなり顔を傾げる。
サキア「どうしたの・・・・・・? なんか・・・・・・顔色・・・・・・悪い」
○○「その木にクモがいて」
サキア「ああ・・・・・・」
指で示すと、サキアは木に近寄って行く。
サキア「ごめんね・・・・・・ちょっとだけ、向こうに行っててくれる・・・・・・?」
木にはりついていたクモを、そっと追い払ってくれた。
サキア「毒グモじゃないから・・・・・・大丈夫・・・・・・だよ?」
○○「クモ自体が苦手で・・・・・・」
(サキアはクモ、平気なんだ・・・・・・)
サキア「そうなんだ・・・・・・確かに、あまり好きっていう女の子は・・・・・・いない・・・・・・のかな?」
思わず首を縦に振ると、サキアがクスっと笑う。
けれど、すぐにうつむいてしまった。
サキア「ごめんね・・・・・・迷子にさせちゃって・・・・・・」
しゅんとするサキアの様子に、胸がちくりと痛む。
サキア「心細かった・・・・・・よね」
(すごく気にしてるみたい・・・・・・)
○○「全然大丈夫だよ! サキア、戻ってきてくれたし。 クモも追い払ってくれたし・・・・・・心強かったよ」
サキア「そ、そう・・・・・・」
唇を引き結んだサキアが、顔を背けてしまう。
○○「・・・・・・?」
(サキア・・・・・・耳が赤い? 照れてるのかな)
サキアが、私に腕を差し出した。
サキア「はい・・・・・・はぐれないように・・・・・・」
(あ・・・・・・)
おずおずと、私は彼の体と腕の間に手を通す。
○○「ありがとう・・・・・・」
そして私達は、二人並んで再び歩き出す。
どんな人混みの中でも、今度はもうはぐれることはなかった・・・-。