途中ではぐれてしまった私達だったけれど……
サキア「はい……はぐれないように……」
そのことがかえってお互いの距離を近づけてくれたような気がしていた…ー。
そして植物園巡りも、後半にさしかかった頃…ー。
サキア「この後なんだけど……少しお店を見てもいい……? 植物園で薬草をみていたら、実際に手に入れたくなっちゃって……」
サキアの、はやる気持ちが伝わってくる。
○○「うん。私も見てみたい」
微笑んで、私は彼とお店の方へと歩き出した。
…
……
私達は植物園を出て、種や苗を分けているミュージアムショップへやってきた。
広い店内には、色んな種類の美しい花が整然と並べられている。
(あ、この紫のお花……綺麗)
釣鐘のような形をした紫の花が穂状に咲いているのを見つけ、思わず手を伸ばすと…ー。
サキア「触っちゃだめ……」
強い力で、サキアに手首を掴まれた。
サキア「その花は……ジキタリスって言って……強い毒性があるから……」
(危ない……)
○○「ごめん……ありがとう」
(こんなに綺麗な花なのに、毒があるんだ……)
サキア「……心配……」
サキアの手が、私の手をぎゅっと握る。
サキア「あまり……僕から離れないで……」
その表情に、私のことを本当に心配してくれていることが伝わってくる。
○○「……うん」
嬉しさが込み上げて、私もサキアの手をそっと握り返した…ー。