第2話 お似合いの二人

高く澄み渡った青空が、頭上に広がっている。

(晴れてよかった)

今日は、フォーマと紫陽花を見に行く約束をしていた。

絶好のお花見日和で、私の気持ちは跳ね上がる。

私は、フォーマが指定した駅へと向かったけれど…―。

駅なのに、人が全くいない。

(場所、間違ってないよ……ね?)

周囲を見渡していると、フォーマが前方からやって来た。

(あれっ? いつもと印象が違う……)

フォーマは、いつもよりラフな格好をしている。

○○「フォーマ、今日の服似合ってるね」

フォーマ「そ、そうかな?」

フォーマは照れ臭そうに、頭を掻いた。

(あれっ……)

フォーマは手に傘を持っていた。

○○「フォーマ、傘持ってきたの?」

フォーマ「ああ、今日は雨が降るって聞いてたから」

○○「こんなに天気が良いのに……」

フォーマと私は、曇りのない空を見上げて、雨が降らないように願った。

(あっ、そうだ……)

○○「ねえ、フォーマ。駅なのに、何でこんなに人がいないのかな?」

フォーマ
「この列車は、王室のみが使える貸切列車なんだ。 本当は国民と同じ列車に乗ってもいいかなって思ったんだけど。 人が多いところは、やっぱり苦手で。城の皆にも反対されたし。 普通に出かけることが出来なくてごめん……」

フォーマは残念そうにぽつりとつぶやいた。

○○「でも、貸切列車なら周囲に気兼ねしないで、たくさんお話できるね」

フォーマ「○○にそう言ってもらえると嬉しいよ」

フォーマの顔が、ぱっと晴れた。

フォーマ「そうだ、もっと列車の旅を楽しくする方法がある」

フォーマはそう言うと、駅の反対側の道へと歩き出した。

ついた場所は、大きなベーカリーだった。

○○「ここって、フォーマのお気に入りのところだよね?」

フォーマ「ああ、そうだよ。電車の中で、○○と食べたいなって思って」

○○「ピクニックみたいで楽しそう」

フォーマ「好きなパンを選ぼう。○○はどんなパンが食べたい?」

○○「あっ、これがいいかな」

目の前にあったバゲットサンドは、チーズがたっぷり入っていて、とても美味しそうだった。

フォーマ「いいね。僕もこれにしよう」

(なんだかこういうのって良いな……)

普段はなかなか味わうことの出来ない穏やかな時間に、私はそっと身を任せた。

フォーマ「これをもらえるかな」

フォーマが会計をしようとすると、店主のおばさんが私達をまじまじと見てくる。

フォーマ「……何か?」

フォーマが警戒しているのが、震えた声で分かった。

店員のおばさん「美男美女でお似合いだって思ってさ。ほら、これおまけしておくよ」

店員のおばさんはそう言うと、焼きたてのパンを袋の中に入れてくれた。

○○「ありがとうございます」

フォーマを見ると、安堵したようにほっと息を吐いていた。

パンを受けとり、私達は駅へと向かう。

(お似合い……)

私は密かに、おばさんの言葉をそっと噛みしめていた…―。

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