第2話 動きたくない王子

従者「アケディア様、アケディア様!」

従者さんが体をいくら揺すっても、アケディアくんは目を覚まさない。

従者「……申し訳ございません、一度寝てしまうと駄目ですな」

従者さんはため息を吐くと、アケディアくんを部屋の中へと運ぼうとする。

けれど、ぐっすりと眠りこんでいるアケディアくんは、すごく重いようで……

〇〇「あの……私も手伝います!」

従者「トロイメアの姫様に、そのようなことは……」

〇〇「大丈夫です、二人で運んだ方が早いですよ」

従者「……申し訳ありません」

アケディアくんの体を支えて、部屋の中へ入って行く。

部屋の中を見るや否や、私は驚いて言葉に詰まった。

(こんな部屋、初めて……)

部屋の中にある、あらゆるものがベッドから手の届く範囲に置かれていて、

まさに、ベッドの上だけで生活をできるような状態になっていた。

(とても、便利そう……だけど)

ベッドの周りにはいろんなものが散乱してしまっている。

私は落ちていた目覚まし時計を拾い上げ、戸棚の上に置いた。

○○「……とても生活がしやすそうな部屋ですね」

従者「はい。実際にアケディア様は、一日の大半……いえ、全てをこのベッドの上で過ごされています」

○○「えっ……! では、公務はどうされているんですか?」

従者「我々は、ベッドから王子に指示を出していただいております」

○○「そうなんですか……」

メイド「いけない、そろそろ会議のお時間です……」

従者「申し訳ありません、○○様。失礼致します」

私に一礼してから、従者さんは部屋を出て行った。

(アケディアくんが目を覚ますまで、少し待ってみよう……)

しばらくの間、アケディアくんの寝顔を見つめていると…ー。

アケディア「……」

○○「……!」

ぐっすりと眠っていたアケディアくんが、突然目を見開いた。

アケディア「ふーっ、寝たふりも・・・・・・疲れる」

(ね、寝たふり!?)

○○「・・・・・・今までの、寝たふりだったの?」

アケディア「うん、ぼく演技上手いでしょ?」

その言葉を聞いて、呆気に取られてしまう。

○○「でも、なんで寝たふりなんてしていたの?」

アケディア「皆は○○ちゃんが遊びに来てくれるなら、きちんとしなさいって言うけど・・・・・・。 きみには、いつも通りのぼくを知って欲しかったんだ。 いつもの、ベッドの上でだらだらするぼくをね」

○○「だから会議にも・・・・・・」

アケディア「うん、面倒だから出ないよ」

アケディアくんは、悪びれることもなくはっきりと言い切った。

アケディア「代々の王は面倒くさがりやで、自然と優秀な部下が揃うようになってるし・・・・・・。 放っておいても勝手に決めてくれてるしね」最終的な決定はぼくがここで下してるし、それでいい。 ああ・・・・・・会議って言葉を聞くだけでも面倒だ・・・・・・」

アケディアくんはぽつりとつぶやくと、大きなあくびを一つした。

(面倒くさがりの王子様・・・・・・)

私は、アケディアくんの過ごし方に、ただただ驚きを隠せずにいた・・・-。

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