第4話 手湯に身を任せて

食事を終えた私達は、大通りから少し外れた路地裏を散歩していた。

(あれは……なんだろう?)

通りの先に、時代を感じさせる石造りの囲いが見える。

アルタイル「『手湯』か……肌が綺麗になる効能があると書いてあるな」

アルタイルさんは入口近くにあった立て札に視線を走らせた。

(手の疲れも取れるのかな? それなら……)

普段、農作業をしているアルタイルさんの手が癒されればという考えが浮かぶ。

〇〇「入ってみませんか?」

アルタイル「ああ。手がすべすべになるかもな。 こういうのは、ベガも好きそうだ」

自分より友人を思う彼に、心が温かくなった。

〇〇「そうですね。宿に戻ったら、ベガさんにも教えてあげましょう」

アルタイル「ああ」

私達は早速、中へと入った…-。

……

アルタイルさんと石造りの椅子に腰かけ、テーブルほどの高さがある湯船に手を入れた。

湯はほんのりと温かい温度だけれど、手だけでなく体全体が少しずつ温まっていく。

アルタイル「……お前の手は、温泉に入れなくても綺麗だと思う」

〇〇「そ、そんなことは……」

唐突に褒められ、温かくなっていた頬がさらに熱を持ち……

〇〇「……でも、嬉しいです」

アルタイル「ああ。見とれてしまうくらい綺麗だと思う」

目を細めて優しく微笑むアルタイルさんに、胸が小さく音を立てた。

アルタイル「……」

ふと……揺らめく湯の中で、彼の大きな手が私の手を捉えた。

〇〇「……っ」

アルタイル「お前の手は柔らかい。それに……こんなになめらかだ」

指先でなぞられるように触れられ、甘い感覚が全身に広がっていく。

〇〇「あの、私のことより……」

照れくささから逃れるように、私は彼の手を握った。

〇〇「ここは、アルタイルさんに癒されてほしいです」

アルタイル「俺に?」

握った手に力を込め、彼の指先を見つめる。

〇〇「普段、国の皆さんを手伝ってアルタイルさん自身も農業をしているから。 この手が、少しでも休まればいいなって……」

アルタイル「……」

私に委ねられていた彼の手が、私の手を優しく包み込む。

〇〇「!」

指と指を絡ませるように力を込めて、湯の中で手を握り合った。

アルタイル「すまない、ちょっと力が強かったな」

〇〇「いえ……」

高鳴る胸の鼓動が、絡み合った指先から彼に聞こえてしまいそうで……

私は思わず、顔を伏せてしまったのだった…-。

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