第2話 嵐の後に残ったもの

どこか懐かしさを感じる街並を眺めながら、私はアルタイルさんと穏やかな時間を過ごしていた。

アルタイル「勇利達が来て、本来の予定どころではなくなってしまったが……」

口調とは裏腹に、アルタイルさんの頬がふっと緩む。

〇〇「どうしたんですか?」

アルタイル「いや……勇利達と馬鹿騒ぎしたことを思い返していた」

まるで少年のように笑うアルタイルさんから、私は目が離せなくなった。

アルタイル「ベガもヘラクレスも勇利達と一緒になって大騒ぎして……めちゃくちゃだったけど、楽しかったよ」

〇〇「すごく賑やかでしたね。アルタイルさんも、不思議な温泉に入ったり……」

ゆっくりと閉じられた彼の目が、やがて柔らかな弧を描く。

その穏やかな表情に、私はまた引き込まれてしまった。

アルタイル「はは、そんなこともあったな。 勇利は不安や焦りを抱えながらも、大騒ぎするユーリやヴィクトルをたしなめたりして……」

〇〇「ユリオ君には、最初圧倒されちゃいましたね」

異世界の大人相手にも尻込みすることなくぶつかってくる、彼の姿が頭をよぎる。

アルタイル「見た目は少女のようだが、言葉遣いはかなり乱暴だったな。 突っかかってばかりのユーリが、帰る頃には少し心を開いてくれたような気がして、嬉しかったよ」

アルタイルさんは、まるで宝物のようにひとつひとつの出来事を大切そうに話していた。

アルタイル「勇利達とは年齢も過ごしてきた環境もバラバラなのに、皆昔からの友達みたいに思えたんだ。 バカ騒ぎして遊ぶなんて、今まであまりやってこなかったから、すごく新鮮で楽しかったよ」

〇〇「……楽しそうなアルタイルさんを見ていて、私も嬉しかったです」

私の言葉を聞いたアルタイルさんは、驚いたように目を見開いた後、嬉しそうにその目を細めた。

アルタイル「ありがとう、〇〇」

(いつかまた、会えたらいいな)

少し前の出来事に思いを馳せながら、私はふと歩みを止めた。

〇〇「アルタイルさんは、この後何をして過ごす予定ですか?」

アルタイル「そうだな……この土地にはどんな農作物が育つのか、どんな食べ物が民に親しまれているのか…-。 いろいろ視察してみようと思う」

(それって、まるでお仕事のような……?)

アルタイルさんらしいとは思いながらも、ヘラクレス達が今回申請をした気持ちを考えると……

〇〇「あの……! せっかくの機会ですし、アルタイルさんが楽しめることをするのはどうですか?」

つい、そんな言葉が口から出ていた。

アルタイル「俺が楽しめること?」

〇〇「はい。せっかくの休暇ですし、アルタイルさんに思いきり楽しんでほしいなって」

(それに……)

〇〇「ベガさんともゆっくり過ごせる機会ですし……」

アルタイル「……」

アルタイルさんは顎に手をあて思案顔をした後、ふわりと笑みを浮かべる。

アルタイル「じゃあ、付き合ってくれるか?」

〇〇「え……? 私で、いいんですか?」

大きな手が、私の頭をぽんぽんと撫でるように叩く。

アルタイル「まだ時間はあるんだ。お前と一緒に過ごしたいと思ってな」

彼のまっすぐな言葉が、心を嬉しさで浸してくれる。

〇〇「……はい!」

ひとときの楽しい休暇を思い描き、私は彼と並んで歩き出した…-。

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