第1話 湯元での休息

湯元の国・廻天…-。

心地よい温泉の香りが、湯元の街に漂っている。

この国の王子である那由多さんに招かれ、廻天を訪れていた私は……

アルタイル「こうしていると、さっきまでの出来事が嘘みたいだな」

星の国・ガラッシアの東国の王子であるアルタイルさんと再会した。

〇〇「はい。本当に……勇利さん達は、今頃何をしているんでしょうね」

アルタイル「彼らのことだ。きっと賑やかにやっているさ」

綺麗な翡翠色の目が、微笑ましそうに細められる。

私達が思いがけず出会ったのは、異世界からやってきたフィギュアスケート選手達……

最初から最後まで慌ただしく過ごしていた彼らのことを思い出して、私とアルタイルさんは笑い合った。

アルタイル「彼らを元の世界に帰すことに必死で、お前とゆっくり話ができていなかったな」

〇〇「ふふ、そうですね。アルタイルさんは、ヘラクレスに誘われてここへ来たんですよね」

アルタイル「ああ、デネブと企画してくれたんだ。『皆で温泉に行こうよ~!』と、声をかけてくれてな。 ここなら人目を気にせずベガとも話せるだろうって、ヘラクレスが申請してくれたんだ」

嬉しそうに話すアルタイルさんの横顔を見たら、私も自然と笑みがこぼれた。

ガラッシアは昔、一つの国だったけれど……今は東と西に分断されてしまっている。

だからアルタイルさんは、幼馴染みの西国の王子、ベガさんと自由に会うことができないでいた。

アルタイル「ヘラクレスとデネブには感謝しなければ。デネブが仕事で来られなかったのは残念だが…-」

友人を思う彼の表情は、とても温かいもので……

アルタイル「こっちに来てすぐに勇利達と出会ったから、まだゆっくり街を見ていないんだ」

彼の爽やかな笑顔がまぶしくて、私の胸は小さな音を立てた。

(アルタイルさんと一緒に街を回りたかったけど……)

(ばたばたしちゃった分、ベガさん達との時間を大切にしないといけないよね)

少しだけ寂しい気持ちを押し隠して、私は彼に微笑み返すのだった…-。

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