第4話 彼の贖罪

ヴィム「うなされているのが聞こえてきて……大丈夫か?」

○○「う、うん……」

(さっきの、夢は……)

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??「お願いします……ヴィムを助けてあげてください。 彼は……私のせいで……」

ーーーーー

ヴィム「悪い夢でも見たのか?」

○○「黒髪の……泣きぼくろのある女の人が。 ヴィムを、助けてって……」

夢の内容を思い出すように、ぽつりぽつりと声に出す。

ヴィム「!!」

するとヴィムの顔色が、さっと青ざめた。

○○「あの、サラさんとは…―」

ヴィム「サラは……」

ヴィムはぐっと唇を噛んで、言葉を詰まらせたけれど…―。

ヴィム「俺の幼馴染……だった」

深いため息を一つ吐くと、ヴィムは諦めたようにサラさんのことを話し出した。

ヴィム「サラは……王族に関わりの深い貴族の娘で、小さな頃から仲が良かったんだ。 満月の夜に俺が狼の姿になっても一緒にいてくれたのは、心優しいサラと家族だけだった。 けど……5年前のある満月の夜」

ヴィムは握りしめた拳に、ぐっと力を入れた。

ヴィム「あの花畑で、狼に我が娘が襲われていると勘違いした彼女の父親が……俺を撃ったんだ」

○○「……!」

ヴィム「流れ出す血を見て、俺は我を忘れて……彼女の父親に襲いかかろうとした。 向こうも怯えて、俺に向けてまた銃を放った……けど、サラが俺を庇って……!」

ヴィムは言葉を詰まらせると、うつむいて黙り込んでしまった…―。

(そんなことが……)

○○「夢の中で、サラさんはすごく悲しそうだった」

ヴィム「……」

○○「ヴィムを助けてあげて欲しいって、言ってたの」

そっとヴィムの手を握った。

けれども反応を示さない彼は、瞳の光さえも失っているように感じられた……

○○「だからきっと、サラさんはヴィムが傷つくことを望んでないと思う」

苦しそうなヴィムを見ていられなくて、そう言い募ると…―。

ヴィム「わかったようなことを言うな!」

ヴィムの突然の剣幕に、体がびくっと震える。

勢いよくヴィムが顔を上げた、次の瞬間…―。

彼は私を壁に押しつけた。

(えっ……?)

ヴィムに、壁と彼の腕の中に閉じ込められ、睨みつけるように見つめられる。

ヴィム「…なら! 俺が許されてるのなら……なんであいつは俺の夢には出てこないんだ……! 俺に言えばいいじゃないか、あんたじゃなく、俺に直接…―」

○○「ヴィム……」

ヴィム「……っ!」

ヴィムは私を腕から解放すると、足早に部屋から出て行ってしまった。

一人取り残された部屋に、静けさが訪れる。

(どうしたらいいんだろう)

何でもないことのように笑っていた彼の心の内を知って、胸が苦しくなる。

彼の険しい言葉と声に、私の心は軋んでいた…―。

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