第1話 子どもだけの国

憧憬の国・チルコ 陽の月…-。

その日私は、ウェルガーくんの招待を受け、子どもだけの国……チルコを訪れていた。

街へ入った私を見て、子ども達がざわめき始める。

(やっぱり皆、まだ大人を信じきれないのかな……)

少し居心地の悪い思いをしながら、街を歩いていると…-。

モルタ「ようこそいらっしゃいました」

〇〇「モルタさん……!」

柔らかな笑みを湛え、モルタさんが恭しくお辞儀をする。

モルタ「お待ちしていましたよ」

彼の顔の半分を覆う仮面からは、ウサギの耳が生えていた。

妖しいのか、かわいらしいのか……

不思議な雰囲気をまとうその仮面に、目を奪われていると…-。

モルタ「あなたには、こちらを」

モルタさんが『名誉子どものバッジ』を差し出した。

(これをつけていると、王族に認められた者として受け入れられるんだよね)

〇〇「ありがとうございます」

モルタさんの手からバッジを受け取り、胸元へつけようとすると…-。

モルタ「ああ、手伝いましょう」

〇〇「……!」

モルタさんの顔が近づき、微かに指先が触れ合った。

その瞬間、鼓動がドキリと大きく打ち鳴る。

モルタ「これでいいですね。 せっかくお越しいただいたんですから、楽しんでいってください」

〇〇「はい、ありがとうございました」

バッジをつけてくれたモルタさんが、穏やかな微笑みを浮かべる。

モルタ「ご一緒しましょう。一人では何かと不便でしょうから」

その優しい声色に、私の心は落ち着いていくけれど……

〇〇「……ありがとうございます」

子どもの笑い声が響くチルコの街で、背の高いモルタさんを見上げていると、その存在が少しいびつにも感じられたのだった…-。

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