第4話 宝石店へ潜入調査

翌日……私はサイさんと二人で、お目当ての女性を調査するために宝石店を訪れていた。

女性店員「いらっしゃいませ! あ、サイ王子……!?」

サイさんの姿を見て、女性店員さんがたちまち目を丸くする。

(やっぱり、王子様が突然お店に来たら驚くよね)

その容姿から、この人が依頼人の男性が恋している女性であることがわかった。

(変に怪しまれないようにしないと……)

私は昨日サイさんと打ち合わせたことを思い出す。

サイ『やっぱり、調査対象の女性のことを実際に見てみないとね』

〇〇『どうしましょうか?』

サイ『僕と〇〇、二人でその店に行ってみようか』

〇〇『二人で、ですか……?』

サイ『うん。お忍びってことで』

(お客さんとして、あくまで自然な雰囲気で…)

女性店員「わざわざお店まで来ていただいて……あ、そういえば探偵団を始められたとか」

〇〇「!!」

いきなり核心を突かれ、ドキリと心臓が鳴った。

サイ「う、うん……」

女性店員「何か事件でもあったんですか?」

サイ「いや、そういうわけじゃないんだけど…-」

誤魔化すように笑う私達を見て、女性店員さんは納得した様子で頷いた。

女性店員「そうですよね。このお店は憲兵隊の巡回ルートに入ってますし、安全ですよね」

サイ「……え?」

女性店員さんの言葉に、サイさんが首を傾げる。

(どうしたんだろう?)

けれどその素振りを気にすることもなく、女性店員さんはにこにことなんだか嬉しそうにしていた。

女性店員「あの、そちらの方はもしかしてサイ王子の恋人……ですか?」

サイ「!! えっと……それは」

〇〇「……サイさんっ」

サイ「どうし…-」

ちらりと目配せを送ると、サイさんはハッと我に返ったようだった。

サイ「あ……そう、こ、恋人にプレゼントをしたくて!」

ぎくしゃくとした彼の言葉は、女性には返って初々しく聞こえたようで……

女性店員「まぁ、素敵ですね! お呼びいただけたらお城までうかがいましたのに」

サイ「そうだね。でも……」

ふと、サイさんが私の腰をぐっと抱き寄せた。

(え……!?)

密着した体の温もりや、サイさんの腕の力強さを感じて、一気に頬が熱くなる。

サイ「こ、恋人と……〇〇と一緒に選びたかったんだ」

大胆なサイさんに、女性店員さんまでうっすらと頬を染めて、ため息を吐いた。

女性店員「まぁ……では、当店の誇りにかけて、素敵な宝石をご覧いれますね!」

そう言って、輝かしい宝石を広げ、丁寧な説明を始めてくれる。

私とサイさんは、安心して息を吐き、こっそりと顔を見合わせた。

サイ「勝手に恋人って言って……なんて言うか、ごめんね」

申し訳なさそうに言うサイさんに、私は……

〇〇「……少しだけ、照れちゃいました」

小さな声で囁くと、サイさんが私から目を逸らした。

サイ「……僕もだよ」

胸の奥の方がくすぐったくて、どうにも落ち着かない。

(でも……調査とはいえ、サイさんとこうやって宝石を選ぶなんて)

ドキドキと高鳴る胸を、ひた隠しにしながら……

私達は『恋人』らしい距離感のまま、宝石店での調査を続けたのだった…-。

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