第1話 探偵の装い

宝石の国・ガルティナ 彩の月…-。

(探偵団……か)

この国の王子であるティーガ君を中心に、『ティーガ探偵団』なるものが結成されたと聞いた私は、彼らの様子を見るため、ここ宝石の国を訪れていた。

(王子様の探偵団……最初は驚いたけど)

なんともティーガ君らしいと思いながら、事務所になっている城の一室の扉を叩くと……

サイ「ようこそ、〇〇」

柔らかな声で迎えてくれたのは、同じく宝石の国・サフィニアの王子、サイさんだった。

〇〇「こんにちは、サイさん」

格子柄の中折れ帽に、襟の高い上品なロングコート……

サイさんは、いかにも探偵といった装いをしていた。

(すごく……似合ってる)

サイ「はは……そんなに見られると、恥ずかしいな」

〇〇「す、すみません!」

思わず見つめてしまっていたことに気づき、さっと視線を逸らす。

改めて事務所の様子を見渡すと……

〇〇「これは……すごい状況ですね」

部屋は書類で溢れ返っていて、城の一室とは思えないほどに散らかっている。

目を丸くする私を見て、サイさんが困ったように眉尻を下げた。

サイ「全部、僕達への依頼書なんだ」

〇〇「ティーガ君と、リドは?」

サイ「あはは……リドは行方不明のペットの捜索で、ティーガは大事件を求めてどこかへ行っちゃったみたい」

〇〇「そ、そうだったんですね……サイさんは何をしていたんですか?」

サイ「あぁ、書類の整理をしていたんだ。なんだかたくさん溜まっちゃってて」

机に積まれている山盛りの書類に視線を移すと、ふとあることに気がついた。

〇〇「……サイさん宛の手紙が随分多いんですね」

サイ「うん。頼られるのはありがたいんだけど、いつの間にかすごい量になっちゃったんだ。 なんで僕宛のものが多いのかは、わからないんだけど」

そう言って、サイさんは不思議そうに首を傾げる。

〇〇「でも……サイさんに頼むと安心できるのは、わかる気がします」

サイ「そうかな?」

〇〇「はい」

深く頷くと、サイさんはやっぱり困ったように笑うのだった…-。

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