太陽7話 猫の逃走劇

黄昏の空の下、私とリドは猫を必死に追いかける…-。

リド「おいっ! 待て……っ!」

猫は路地裏をぐるぐると走り回り、私とリドを困らせる。

(意外にすばしっこい……!)

リド「〇〇! そっちから回り込んでくれ!」

〇〇「う、うん……!」

私は猫が向かう道に先回りして待ち伏せる。

(よし、これなら……)

気を取り直し、こちらに走って来る猫を捕まえようとするけれど……

猫「なーーー!」

〇〇「わっ……」

猫はするりと私の腕を通り抜けて、走り去っていった。

リド「〇〇! もう一回そっち行ったぞ!」

〇〇「わ、わかった……!」

リドが後ろから追いかけ私が向かいから待ち受け、今度こそ猫の行く手を阻もうとするけれど…-。

猫「な~!!!!」

(来た……って、あれっ!?)

猫は急に方向転換し、横にある建物の壁の割れ目にするりと入っていった。

リド「……へ!?」

〇〇「え!?」

助走がついていたリドが猛然と私に突っ込んできて……

〇〇「っ……!」

そのまま、私に覆いかぶさるように倒れ込んでしまった。

リド「っててて……わ、悪い、〇〇!」

リドに背中を支えられながら、体を起こす。

リド「ほんとに悪い、大丈夫か? 怪我とか…-」

彼の大きな手が私の頬に遠慮がちに触れる。

〇〇「……あっ、うん」

心配そうに揺れている彼の瞳の中に、私の姿が映っていた。

彼に触れられている部分が、じわりと熱くなっていく。

リド「〇〇……」

心なしか、リドの頬も赤く染まっている気がした。

猫「な~~……」

その声にハッと振り向くと、猫が睨むように私達をじっと見ていた。

〇〇「……!」

リド「あっ、あいつ……っ!」

リドが追いかけようとすると、猫はまるでからかうように身をひるがえし、屋根の上へと上がっていく。

リド「くっそ~……でっぷりしてるくせに、なんであんなすばしっこいんだ!」

猫「な~」

高い屋根の上から、猫は私達を見下ろして野太い声を上げた。

リド「くそっ! こうなったら……」

リドが腕まくりをして屋根の上へと登ろうとすると……

??「いたぞ!」

バタバタと騒がしい足音が近づいてくる。

振り向くと、そこには複数の男の人達がいた。

その中にいたのは……

(この人は……)

―――――

貿易商の男性『どうぞ、以後お見知りおきを』

―――――

(カランさんと一緒にいた、貿易商の男の人……)

貿易商の男性は、お付きの人と思われる人々を引き連れていた。

男性達は皆、なぜか険しい顔をしている。

(何……この雰囲気)

張り詰めた空気に戸惑っていると、リドが彼らに鋭い視線を向ける。

リド「あんたら……」

貿易商の男性「……捕獲しろ!」

貿易商の男性の声を合図に、お付きの人達は懐から銃を取り出した。

(銃……!?)

リド「おいっ!!」

私達にかまわず、皆がいっせいに銃を構える。

リド「っ……!」

リドが、私の耳を塞ぐように強く抱きしめる。

鈍い銃声が響き、私はリドの胸に顔を埋めた…-。

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